*14:40JST 新興市場見通し:ライオン事務器、テクセンドフォトマスク、ユーソナーが上場
■「高市トレード」再始動の流れが広がる
今週の新興市場は上昇。同時期の騰落率は、日経平均が+5.06%だったのに対して、グロース市場指数は+1.83%、グロース市場250指数は+2.08%。日経平均株価は、10月4日の自民党総裁選において高市早苗氏が総裁に選出されたことが好感され、「高市トレード」が再始動。9日には48500円に乗せて史上最高値を更新した。グロース指数、グロース250指数においてもこの流れが広がる形になった。時価総額が大きい銘柄で構成されているグロース市場コア指数は、週間ベースで+1.26%だった。
時価総額上位銘柄では、FFRIセキュリティ<3692>の週間上昇率が30%を超えた。高市氏が公約に掲げる「経済安全保障」の強化において、サイバーセキュリティ関連として注目された。アストロスケールホールディングス<186A>の上昇率は26%を超えた。高市氏は内閣府特命担当大臣(宇宙政策担当)を務めていた経緯があり、宇宙関連に注目していることが材料視された。同様の観点からQPS研究所<5595>は18%超の上昇。
その他、セキュリティ関連としてZenmuTech<338A>が週間で43%超の上昇。NANO MRNA<4571>は、SBI系との業務提携により投資事業に参入するとの発表を受けて同42%超上昇した。レナサイエンス<4889>はサウジ政府の医療研究機関と基本合意書締結の発表を手掛かりに同41%超上昇。一方、データセクション<3905>は31%超の下落となった。空売りで知られるウルフパック・リサーチが売りポジションを取っていることが明らかになったことが嫌気された。
今週のIPOは、6日に上場したムービン・ストラテジック・キャリア<421A>は、公開価格(2080円)を20.28%上回る2502円で初値を付けた。その後も買い優勢の動きが続き、10日には一時3000円まで買われた。7日上場のウリドキ<418A>は、公開価格(1200円)を7.5%上回る1290円で初値を付けた。一方で、8日上場のサイプレス・ホールディングス<428A>の初値は、公開価格を4.9%下回る675円となった。
■波乱の展開となりそう
来週の新興市場は、波乱の展開となりそうだ。公明党が自公連立政権から離脱したことにより、臨時国会での高市首相誕生に不透明さが増し、先週の上昇に対する反動で持ち高解消の動きが強まりそうである。主力大型株主導の下げになるだろうが、新興市場も少なからず影響を受けるだろう。そのため、決算などを手掛かりとした個別対応の動きが中心となりそうだ。来週は、14日に農業総合研究所<3541>、リックソフト<4429>、ARアドバンストテクノロジ<5578>、Enjin<7370>、15日にティーケーピー<3479>、ABEJA<5574>、サイエンスアーツ<4412>などの発表が予定されている。
来週のIPOは、15日にライオン事務器<423A>が東証スタンダード、16日にテクセンドフォトマスク<429A>が東証プライム、17日にユーソナー<431A>が東証グロースに上場する。投資家の注目度が高い銘柄は、データベース&マーケティング支援業務を手掛けるユーソナーとなる。公開規模は50.8億円~53.2億円と荷もたれ感のある大きさだ。ただ、福富会長の売出がメインであるほか、既存株主には上場日後90日間または180日間のロックアップがかかっており、需給面への気がかりは乏しい。
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