先週の日経平均は週間で1750.65円安
投資情報会社・フィスコが、株式市場の11月17日~11月21日の動きを振り返りつつ、11月25日~11月28日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で1750.65円安(-3.5%)の48625.88円で取引を終了。米国の利下げ期待の後退に加えて、中国政府が日本への渡航を控えるよう注意喚起したことを受けて日中関係の悪化懸念も台頭、週前半から売り優勢の流れとなる。米エヌビディアの決算発表を控えて、ハイテク株には手仕舞い売りも優勢となった。
エヌビディアは19日に想定以上の好決算を発表、時間外取引で上昇したことが買い安心感を誘い、20日の日経平均はハイテク株主導で大幅反発となった。ただ、米国市場でエヌビディア株が伸び悩むと、週末には一転して、半導体・AI関連株には過熱警戒感への意識が再燃することとなった。結局、日経平均は18日に25日移動平均線を明確に下放れ、その後の反発局面でも同線が上値抵抗として機能する形となってしまっている。
なお、11月第2週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を5219億円買い越した一方、先物は600億円を売り越し、合計4619億円の買い越しとなった。3週ぶりの買い越しとなっている。個人投資家は現物を2456億円売り越すなど、合計で2964億円の売り越しとなっている。ほか、信託が2488億円の売り越しとなり、生・損保も940億円の売り越しだった。
週末21日の日経平均株価は約1200円、2.4%の大幅な下落となったものの、TOPIXはほぼ横ばいにとどまっている。日経平均は一部の半導体株やAI関連株の動向に大きく影響を受ける指数となってしまっている状況だ。エヌビディアのコンセンサスを上回る決算がAIバブルへの懸念を払拭させるものとならなかったことから、日経平均株価に関しては、先行きの下値不安が拭えないであろう。一方、半導体・AI関連株から他の銘柄への資金シフトの動きは強まる可能性がある。日中関係の悪化によってインバウンド関連株などには今後も警戒が続く可能性も高いが、バリュー系の出遅れ銘柄、グロース系の中小型株などへの押し目買いには注目しておきたい。
また、政府は21日の臨時閣議において、21.3兆円規模の総合経済対策を決定している。実質GDP(国内総生産)を24兆円程度、成長率を年率1.4%ほど押し上げる効果を見込むとしており、成長投資の柱となり得る分野の銘柄などには見直しの動きが強まっていきそうだ。とりわけ、経済対策のポイントとされているところでは、造船の能力向上に向けた「10年間の基金」創設、宇宙、国土強靭化などへの投資、病院や医療従事者向けの補助金、副首都機能の整備などが注目できよう。一方、積極的な財政拡張策も一因となって国内長期金利の上昇が続いている。一段の金利上昇、それに伴う更なる円安の進行などは、全般的な株式投資の手控え材料につながる可能性があり注視したい。
