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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「自分、工業高校に行ってよかったです」仕事がひっきりなしに舞い込む“一人親方”溶接工の思い AIが普及し始めても存在感を放つ“手に職を持つ”ブルーカラーの現場仕事

やはり現場仕事は強い。田植えを手伝った筆者

やはり現場仕事は強い。田植えを手伝った筆者

機械化で仕事が減っても別の分野で仕事を見つけてきた

 とはいっても、機械化による合理化というのは人類の歴史において何度も経験したことです。かつて、危険を伝達する方法は「狼煙」でした。手紙を運ぶのは飛脚でしたが、それが自転車や汽車に取って代わられ、手紙より電報、その後は電話でメールやメッセンジャーになり、人間同士のコミュニケーションはどんどん手軽になっていった。

 田植え・稲刈りだって、かつては村中総出で行っていたものが、今や田植え機とコンバインを動かすオペレーターと、他数名でできるようになっています。大量に製造されるお菓子をはじめとした加工食品も、オートメーションでできるもの。回転寿司チェーンでも寿司を成型するのはロボットです。機械化で人の仕事は減るものの、何か別の分野で人間は常に仕事を見つけてきたので、これからも何とかなるのではないでしょうか。

 仮に「AIに仕事を奪われた人間は、もはや新薬の治験しかやることがない!」なんてことになったら恐ろしいですが、これもSFの世界の話ではありません。厚労省は今年6月、健康な人に病原体を意図的に感染させる「ヒトチャレンジ試験」の海外実施事例を開始したと報じられています。

 もし、こういった仕事が高給取りの仕事になったら、本当に恐ろしい。それよりもA氏のように、世界のどこででも通じるような「手に職」を持つことが重要でしょう。先日も沖縄で大規模断水がありましたが、これから日本全国の水道管は老朽化が進むのは明らかで、多くの技術者・作業員が必要になります。そうした面も考えて、自分の・我が子のキャリアを考えたいものですね。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は稲熊均氏との共著『ウソは真実の6倍の速さで拡散する』(中日新聞社)。

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