前回9月時点でのドットチャートは、0.25%の利下げ回数について、2026年は1回、2027年は1回、2028年は0回となっていたが、これも今回は変化がないとみる。総じて短期的な出尽くし感を強めさせるものとなる公算が大きい。次期FRB議長と想定されるハセット米国家経済会議委員長は利下げを推し進めると期待されているが、パウエル議長の任期は5月まであり、少なくてもそこまでは、利下げ打ち止めとの見方が有力になっていくことになろう。
12月1日に行われた日銀の植田総裁の会見では、次回の金融政策決定会合において、「利上げの是非について適切に判断する」と語られている。これによって、12月18-19日に開催される日銀金融政策決定会合では利上げがメインシナリオとなってきている。市場でサプライズを起こさせないという観点から考えると、15日の日銀短観の結果などにかかわらず、利上げが決定される可能性は高い。セクター別の動きでは、銀行などのプラスセクターとマイナスセクターの明暗が進む余地は残っているとみられよう。なお、米国利下げ、日本利上げという両極端の動きから、為替市場のドル安円高反転、並びに、相対的な日本株の敬遠ムードが強まる可能性もあるとみる。
今週は、週末にメジャーSQ算出日を迎えるなか、週央にかけては、米FOMCを控えていることもありロールオーバーを中心とした模様眺めムードの強い展開となりそうだ。11日には米半導体のブロードコムが決算発表を予定しており、翌日の東京市場の半導体関連株に何らかのインパクトを与えるものとみられる。ほか、経済指標では8日に7-9月期国内総生産(GDP)が発表されるが、先の法人企業統計調査の結果が反映され、それなりの下振れには注意が必要となる。
法人企業統計調査では、設備投資の伸び率鈍化が確認されており、機械など設備投資関連にとっての厳しい環境が認識されている。一方、ファナック<6954>とエヌビディアの協業、国産人型ロボットの量産化報道が伝わるなど、将来的なフィジカルAI市場の成長期待は高まる方向となっている。今後、産業用ロボットのみならず、工作機械や建設機械などにも、こうしたフィジカルAI市場の広がりが想定されることになろう。
今週にかけて、国内では8日に7-9月期GDP(改定値)、10月毎月勤労統計調査、11月景気ウォッチャー調査、10月経常収支、9日に11月マネーストック、11月工作機械受注、10日に11月国内企業物価指数、11日に10-12月期法人企業景気予測調査などが公表される。なお、12日はメジャーSQの算出日となる。
海外では、8日に中・11月貿易収支、独・10月鉱工業生産、9日に米・10月JOLTS求人件数、10日に中・11月生産者物価指数、11月消費者物価指数、米・11月財政収支、11日に米・9月貿易収支、新規失業保険申請件数などが発表予定。なお、米国では9日から10日にかけてFOMCが開催され、10日にパウエルFRB議長の会見が予定されている。