もっとも、そのような規制があっても、その違反が問題になるのは副業により、【1】労務提供上に支障が生じる場合。【2】業務上の秘密が漏洩する場合。【3】競業することで自社の利益が害される場合。【4】自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合などに限られます。
あなたの副業は、こうした例には当たらないでしょうから、実施しても問題はありません。ただし、就業規則により、届け出制であるなら、これに従うべき。というのも、知られると、就業規則の規定に従わなかったこと自体で軽度な懲戒を受けたり、順法精神の欠如として不利益な人事考課を受ける可能性があるからです。
なお、『労働基準法』で「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算」されるので、副業の労働時間も通算された結果、時間制限の超過が問題になる場合もありますが、自営は労働ではないため、通算されません。とはいえ、熱中し過ぎて本職が疎かにならぬよう、ほどほどに。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2025年12月26日号