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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

高齢化に伴い増加傾向の「パーキンソン病」の根本治療に挑む脳科学者の取り組み 治療薬「MF1」の可能性と、血液1滴で発症リスクを可視化する最新検査【脳科学者が解説】

パーキンソン病、認知症の根本治療薬を目指す

 私たちは同時に、パーキンソン病モデルマウスを使い、FABP3の抑制作用を検証する研究を開始しました。αシヌクレインをマウスの中脳に注入し、「MF1を投与しなかった群」と「αシヌクレイン注入後にMF1を投与した群」に分けて比較したところ、前者の大脳皮質や海馬には1か月後にαシヌクレインの凝集が確認されましたが、後者ではそれがありませんでした。また、運動機能についても、マウスを回転ローターに乗せて落ちるまでの時間を測るという実験を行ないましたが、MF1を2週間投与したマウスは健常なマウスと遜色ないレベルを保持するというという結果が得られたのです。

【左】正常なマウスの中脳のドーパミン神経ではαシヌクレインは神経終末(神経線維の末端部分)にあり、ドーパミン神経の細胞体には存在しない【中】パーキンソン病を起こす薬剤(MPTP)を投与するとドーパミン細胞にαシヌクレイン凝集体ができて(黄色の部分)、進行すると細胞死を起こす【右】FABP3阻害薬(MF1)を投与すると、細胞に凝集体ができないのでドーパミン神経は死滅しない

【左】正常なマウスの中脳のドーパミン神経ではαシヌクレインは神経終末(神経線維の末端部分)にあり、ドーパミン神経の細胞体には存在しない【中】パーキンソン病を起こす薬剤(MPTP)を投与するとドーパミン細胞にαシヌクレイン凝集体ができて(黄色の部分)、進行すると細胞死を起こす【右】FABP3阻害薬(MF1)を投与すると、細胞に凝集体ができないのでドーパミン神経は死滅しない

 この成果に基づき、ヒトへの臨床試験(治験)を実施すべく国に補助金申請・採択されたことで、2026年6月から実施の予定です。まずは健常者を対象に、安全性を確認するフェーズ1を行ない、その後、単回投与で生理的検査を実施します。問題がなければ反復投与を行ない、安全性を確認します。その後、動物に対して半年以上の長期投与試験で安全性と有効性の両面を検証します。この段階でも大きな問題がないと判断できれば、3年後をめどにヒトを対象にしたフェーズ2の臨床試験を実施することになります。

 最終的にはパーキンソン病やレビー小体型認知症の根本治療薬の開発を目指していますが、すべてが順調に進んでも、患者を対象とした大規模に有効性を確認するフェーズ3の治験は2031年頃までかかるはずです。しかも莫大な費用がかかるため私たちのような小さなグループでは難しく、研究を引き継いでくれる製薬会社を国内外問わず探したいと考えています。

次のページ:パーキンソン病発症リスクを可視化する検査キット
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