背中の痛む場所によって疑われる病気は異なる(高木元教授監修)
背中に痛みをおぼえても「ただの筋肉痛だろう」と放置しているビジネスパーソンもいるかもしれないが、それが深刻な病気やがんのサインであることも少なくない。特に激痛をともなう場合は、ためらわずに受診すべきという──。シリーズ「医心伝身プラス 名医からのアドバイス」、日本最大級の救急医療機関の総合診療科でさまざまな痛みを抱える患者と日々向き合う日本医科大学付属病院・高木元教授が解説する。【背中の痛みと病気の関係・前編】
ぎっくり腰から大動脈解離、がんの骨転移まで
背部痛(背中の痛み)で救急搬送される患者さんは多く、原因がすぐに特定できないケースも少なくありません。都心にある日本最大級の救急医療機関として機能している我々の病院では、紹介や救急車で来院した初診の患者さんに対して、総合診療科が初期対応を行ないます。そこで全身状態の評価と必要な検査を行ない、当日には大まかな診断や方針を立てます。総合診療科は、初期対応の後に脊椎などの筋骨格系疾患であれば整形外科、内臓疾患が疑われる場合は消化器内科・外科や循環器内科などの専門科へ紹介する「橋渡し役」を担います。
背中の痛みと一口に言っても、その原因はさまざまです。急性腰痛症(ぎっくり腰)や椎間板ヘルニアといった整形外科疾患だけでなく、大動脈解離、急性膵炎、心筋梗塞などが背中の痛みとして現われることもあります。さらに、がんの骨転移の最初のサインとして背部痛が見つかることもあります。「これまで経験したことのない激しい痛み」「冷や汗を伴う痛み」「発熱を伴う痛み」がある場合は、自己判断で放置せず、ためらわずに救急車を要請してください。
救急搬送される背部痛で比較的多いのは、尿路結石や急性膵炎といった内科系疾患、そして、圧迫骨折や急性腰痛症などの整形外科疾患です。一方で、大動脈解離のように一刻を争う疾患も含まれており、初期判断の早さと正確さが予後を左右します。
診断ではまず、痛みの原因が筋骨格系かそれ以外かを大きく見きわめます。特に高齢者の場合、痛みを強く訴えなくても「立てない」「歩けない」という症状で搬送されることがあり、先入観を持たずに患者さんと向き合っています。
