*11:06JST トヨクモ Research Memo(6):2025年12月期は2ケタ増収増益。有償契約数(トヨクモ単体)も順調に拡大
■トヨクモ<4058>の業績動向
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期業績(連結)は、売上高が前期比54.4%増の4,858百万円、営業利益が同38.1%増の1,605百万円、経常利益が同38.4%増の1,608百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同29.0%増の1,085百万円となり、すべての利益項目で過去最高を更新した。2025年11月に上方修正した計画(売上高4,800百万円、営業利益1,500百万円)に対する進捗率は、売上高が101.2%、営業利益が107.1%と上振れて着地した。売上高の力強い伸長に加え、効率的な事業運営が利益の上振れに寄与した。
利益面について、売上総利益は4,653百万円、売上総利益率は95.8%と引き続き高い水準を維持している。営業利益率は33.1%となり、前期の36.9%からは低下したものの、M&Aに伴うのれん償却費を含む償却費(244百万円)や、前年比69.9%増となった広告宣伝費(1,278百万円)といった積極的な先行投資を吸収し、連結ベースで「30%以上」を確保する会社方針を確実に達成している。実際に計上された広告宣伝費は、期初計画の1,150百万円から、業績の伸長にあわせて予算を積み増し、効率的に消化できた。
主要なKPIである有償契約数(トヨクモ単体)は順調に拡大しており、今後も売上高・営業利益ともに右肩上がりでの推移が見込まれる。トヨクモ単体の平均単価は、2024年12月末の19,214円から、2025年12月末には20,419円へと大きく上昇した。
2025年12月期のサービス別売上高は、いずれも良好に推移した。安否確認サービスは前期比19.9%増の1,256百万円、kintone連携サービス等は同48.3%増の3,076百万円となった。安否確認サービスは、防災意識の高まりが続き、受注が堅調であった。kintone連携サービス等は、2024年11月の価格改定効果に加え、エンタープライズ向けの機能強化が奏功した。また、トヨクモクラウドコネクト(TCC)及びプロジェクト・モード(PM)の売上高は、NotePMが加わったことで、前期比2,064.4%増の525百万円と大幅に増加した。
同社は、継続的な情報開示の観点から毎月15日前後に月次売上の速報値を発表している。売上成長率の推移を振り返ると、2022年2月までは前年同月比で40%を超える高い伸びが続いていたが、その後は市場環境の変化等により成長率が一時的に鈍化傾向となった。しかし、2024年10月までは単体ベースで同25~28%の安定した成長率を維持し、同年11月以降はkintone連携サービスの価格改定効果が寄与したことで、成長率は同36~37%へと再び加速した。2025年12月期は連結決算への移行やM&Aの影響もあり、成長スピードはさらに一段階上がっている。連結ベースでの2025年1月の売上高は前年同月比52.6%増と大きく伸長した。その後も通期を通じて値上げ効果が継続したことに加え、プロジェクト・モード(NotePM)の業績が加わったことで、月次売上の前年同月比成長率は50~60%台の高水準で推移した。
2. 財務状況と経営指標
(1) 貸借対照表
2025年12月期末の資産合計は、前期末比1,875百万円増加の6,538百万円となった。現金及び預金が210百万円、売掛金が73百万円増加したことなどにより、流動資産合計は同396百万円増加の4,802百万円となった。また、有形固定資産が4百万円減少した一方で、プロジェクト・モードの連結子会社化に伴い、のれん及び顧客関連資産として1,189百万円が新たに計上されたほか、投資その他の資産が171百万円増加したことで、固定資産合計は同1,478百万円増加の1,736百万円と大幅に拡大した。
負債合計は前期末比870百万円増加の2,477百万円となった。買掛金が7百万円、契約負債が287百万円増加したことで、流動負債合計が同767百万円増加したことが主因である。固定負債については同103百万円増加の103百万円となった。引き続き、期末時点において実質的な有利子負債はなく、無借金経営を継続している。純資産合計は同1,005百万円増加の4,061百万円となり、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によって利益剰余金が932百万円増加した。
経営指標については、M&Aに伴う総資産の拡大により、自己資本比率は前期末比3.5ポイント低下の61.8%となった。しかし、依然として有利子負債はなく、現預金も4,407百万円と豊富に保有していることから、財務の健全性は引き続き極めて良好であると評価される。
(2) キャッシュ・フロー計算書
2025年12月期末における現金及び現金同等物の残高は4,407百万円となり、前連結会計年度末比で210百万円増加した。営業活動によるキャッシュ・フローは、2,020百万円の収入となった。法人税等の支払額384百万円が支出要因となった一方、税金等調整前当期純利益の計上1,608百万円に加え、減価償却費97百万円、のれん償却額146百万円、契約負債の増加223百万円、及び未払金及び未払費用の増加222百万円などが主な収入要因である。投資活動によるキャッシュ・フローは、1,362百万円の支出となった。これは主に、プロジェクト・モードの連結子会社化に伴う株式取得による支出1,185百万円によるものであるが、このほか無形固定資産(ソフトウェア)の取得による支出89百万円や、敷金及び保証金の差入による支出52百万円などによる。財務活動によるキャッシュ・フローは、448百万円の支出となった。主な要因は、自己株式の取得による支出200百万円、配当金の支払額152百万円、及び長期借入金の返済による支出95百万円である。全体として、M&Aに伴う大規模な投資支出や積極的な自己株式取得・配当といった資金流出があったものの、本業の営業活動による収入がそれらを上回った結果、現金及び現金同等物の期末残高は増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)
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