がんの治療などでは、保険治療で医療費の自己負担額が一定限度を超えた場合、超えた金額が支給される“高額療養費制度”によって患者の経済的負担は減るが、保険適用外の先進医療を行なう場合には、その治療費に高額療養費制度は適用されない。
自身も乳がんを患った経験を持つ、FP(ファイナンシャルプランナー)の黒田尚子氏が解説する。
「病院や治療法で異なりますが、粒子線を患部にあててがん細胞を死滅させる『重粒子線治療』や『陽子線治療』は300万円前後が全額自己負担になり、遠方の患者は交通費や宿泊費も必要です」
重粒子線治療は近年、公的医療保険の適用対象となるがんが登場している。
2016年には骨軟部がんの一部に、今年4月からは前立腺がんと頭頸部がん(口腔・咽喉頭の扁平上皮がんを除く)が新たに保険適用となったが、まだまだ部位は限られているのが現状だ。
たとえば肺がんのステージIで重粒子線治療を選択した際の治療費も通常300万円を超えるが、これは高額療養費制度の対象とならず、全額自己負担となることを留意しておきたい(検査等の費用は3割負担)。
※週刊ポスト2018年12月21日号