投資

GW10連休のドル/円 急落ではなく急騰の可能性も

 今年は、元号が新しくなるということで、ゴールデンウィークは異例の10連休となりますが、日本の祝日は、海外の仕手筋に狙われやすい側面があります。

 今年の正月三が日がまだ明けぬ1月3日、午前7時台のシドニー市場で、30分もかからぬ間に、仕手筋によってドル/円が108円台後半から104円台まで急落し、そしてその後に急反発したことは、マーケット関係者にとって記憶に新しいところです。

ドル/円日足チャート(チャートはTradingView)

ドル/円日足チャート(チャートはTradingView)

 そのため、この10連休もまた仕手筋に狙われるのではないか、ということがマーケットでは懸念されています。

 金融庁・財務省・日銀も、4月19日の3者会合で、10連休中も市場動向を注視する考えで一致したもようです。

 流動性が低下する東京市場休場中に、ドル/円相場の過度な変動をけん制することが狙いで、財務省の浅川雅嗣財務官は「連休中も平日と同様に市場をモニタリングする」と述べました。もちろん、前述の1月3日のドル/円の急落・急反発を念頭に置いてのことでしょう。

 しかし、私見ではどうも相場の「急落」のみを前提としているようで、「急騰」はあまり意識されていないような感触を受けます。

 マーケットにおける仕掛けとは、売りもあれば、買いもあります。全方位で、目を光らせておかないと、虚を突かれることになります。

 特に現在のドル/円は、大量のドル売りによって上値が抑えられている、不自然な状況にあります。

 日米貿易協議で、アメリカ側から通貨安誘導を禁じる「為替条項」を要求されている日本側にとっては、相場が円安に向いてほしくないことから、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする公的な運用機関に委託してドル/円売りを行い、上値が重い雰囲気を演出したいのだろうと思います。

 しかし、結果的に有無を言わせぬ売りに上値が重くなっているため、ドル/円は上がることも下がることも出来ない、非常にいびつな相場となっています。

 こうした市場原理を無視した相場は、いつかきっと市場の反抗を受けることになるものです。

 結論を申し上げますと、ドル/円は公的な運用機関の売りで頭を押さえられていますが、買いが引かない状況が続けば、10連休の流動性が低下する時に、急落ではなく急騰を狙われる可能性の方が高いように思われます。

【PROFILE】水上紀行(みずかみ・のりゆき):バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。主著に『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』(すばる舎)、『FX常勝の公式20』(スタンダーズ)他多数。メールマガジン「水上紀行のFXマーケットフォーカスト」配信中。ツイッター@mizukamistaff

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