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相続税対策の生前贈与の注意点 夫から妻の口座へ大金を一気に移すのはNG

相続税対策の生前贈与には落とし穴も(写真:イメージマート)

相続税対策の生前贈与には落とし穴も(写真:イメージマート)

 どんな人でも、亡くなったときには必ず「相続」が発生する。わかっているのに、まだ早いから、面倒だから、難しいから……といって先送りにしたがために、後悔する人は少なくない。

 相続税対策には、生前のうちにしかできないこともある。ベリーベスト法律事務所の弁護士・的場理依さんが言う。

「例えば、収益不動産を購入しておいたり、保険に加入したり、資産管理会社を設立するなどして、相続対策をしている人は多い」

 中でも、年間110万円までが非課税になる暦年贈与は、相続人以外にも有効なため、多くの人が活用している。プレ定年専門ファイナンシャルプランナーの三原由紀さんが言う。

「2023年3月までは、子供や孫への教育資金の一括贈与が1人あたり1500万円までが非課税です。また、結婚・子育て資金も1人につき1000万円(結婚資金は300万円)までなら非課税になります」

 年間110万円の非課税枠は、今年の税制改正によって、近いうちになくなる可能性があるといわれている。そのため、該当する人がいる場合は、ぜひ有効活用すべきだ。相続実務士で夢相続代表の曽根恵子さんが言う。

「ただし、一度贈与したものは、老後になって“やっぱり返して”と言うことは当然ながらできません。期間限定とはいえ、贈与するかどうかの判断は慎重に」

 また、子供名義の口座を勝手につくって振り込んだり、夫の収入を妻の口座で管理したりするのは「税逃れ」と見なされ、後から相続税が課せられる場合もある。

「夫から妻へは、大金を一気にまとめて口座に移すと、贈与扱いになります。生活費として認められるのは1か月あたり50万~60万円ほどなので、その範囲に収まるよう、小分けにしておきましょう」(曽根さん)

 何より、暦年贈与するなら毎年必ず契約を結ぶことが大切だ。

「“毎年100万円ずつ、10年間贈与します”とまとめたものではなく、1年ごとに“今年、100万円贈与します”といった内容の契約書を交わしてください。それが面倒なら、信託銀行などで暦年贈与サポート信託を締結する方法もある。例えば三井住友信託銀行なら、毎年決まった額を指定の口座から口座へ、手数料無料で贈与することができます」(三原さん)

 生前贈与の落とし穴にはまらないよう、賢く節税したい。

※女性セブン2022年8月18・25日号

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