*09:47JST アールプランナー:住宅業界で独自のポジショニング形成、今期も2桁増収増益見通し
アールプランナー<2983>は、主に戸建住宅の設計・施工・販売を手掛けている。事業セグメントは大きく「戸建住宅事業」と「中古再生・収益不動産事業」に分かれている。戸建住宅事業では、注文住宅の請負や分譲住宅(建売住宅)の開発販売、不動産仲介、エクステリア事業、リフォーム事業までワンストップで展開しており、同社売上高の約99%を占める中核事業となっている。一方、中古再生・収益不動産事業は、中古住宅や収益物件の取得・再生・販売を行うもので、売上構成比はわずか数%程度に留まっている。加えて、「その他」事業もあるが規模は小さい。
同社は「「住。」を通じてすべての人に満足を提供する―All Satisfaction―」という企業理念を掲げ、「デザイン×テクノロジーで人々の住生活を豊かにする」ことをミッションとしている。具体的には「注文住宅×分譲住宅×土地」の3事業を一体的に運営し、土地探しから住宅設計・施工、購入後のアフターフォローまで一貫対応できる住宅プラットフォームを構築。また、デザイン性・住宅性能・価格面の3点で高い付加価値を提供するコストパフォーマンス重視の住宅商品を強みに、顧客の多様なニーズに応えながら日本一の顧客満足度を目指す経営を行っている。
住宅業界には大手ハウスメーカーから地域密着の工務店まで多数の競合が存在するが、同社は注文住宅と建売住宅、仲介・リフォームまで包括する体制となっている。他社が単独の事業領域に特化する中、同社は自社グループ内で住宅に関する包括的サービスを提供できるほか、自由度の高いデザイン性・機能性と適正価格で提供する独自のポジショニングが特徴的。例えば、土地探しから設計・施工、完成後のインテリア・外構工事、さらには中古住宅の再生までワンストップで提案できるため、顧客はワンストップの利便性と統一されたデザインコンセプトを享受できる。また、自社で不動産仲介事業も持つことで、住宅購入希望者の集客から契約まで一貫して対応でき、機会損失を減らしている点も強みとなる。
また、デジタルマーケティングの積極活用も同社の競争優位の源泉となっている。公式WebサイトやSNS、TVCM、動画コンテンツなどを駆使した独自の集客戦略により効率的に顧客接点を拡大しており、Web反響率(同社への問い合わせ件数のうち、Web経由の比率)は82%(2025年1月末時点)と高水準となる。これにより大型展示場頼みの従来手法に比べ、低コストで幅広い顧客層にリーチし、「デザイン」「性能」「価格」を兼ね備えた高コストパフォーマンス住宅の商品力で需要を取り込むことに成功している 。
2025年1月期の売上高は40,185百万円(前期比25.3%増)、営業利益は2,163百万円(同4.1倍)で着地した。前期に積み上げた受注残高を着実に消化し、当期は注文住宅・分譲住宅とも販売棟数が前年を上回った。分譲住宅の販売好調で総販売棟数は創業来初となる年間1,000棟を達成。また、販売価格の適正化(値上げ)やコストコントロールの徹底により利益率も改善し、原材料高や人件費増に対応できた。そのほか、住宅市場全体が低迷する中、受注高は同21.3%増と着実に積み上げ、特に首都圏エリアの受注高が同51.3%増と大幅に増加した。東海エリアも順調で受注高・総受注棟数ともに過去最高となっている。2026年1月期の会社計画は、売上高44,500百万円(同10.7%増)、営業利益は2,400百万円(同10.9%増)を見込む。引き続き、注文住宅・分譲住宅の販売棟数を増加させていく方針である。
住宅市場環境は、新設戸建住宅着工戸数の推移は減少しているが、同社は地盤地域である東海エリアと人口流入が続く首都圏エリア(東海+首都圏エリアの市場規模6兆円)を戦略地域として経営資源を集中させている。積極的な出店などによるエリア拡大と独自のデジタルマーケティングや最新テクノロジーの活用によってコミュニケーション改革・業務効率化を図り、受注機会の増大と生産性向上を目指す方針。また、事業規模拡大に対応すべく東海・首都圏双方で積極的な人材採用を継続し、組織力の強化を図れるよう、人的資本経営を推進させていく。中長期的にはストックビジネス・生涯取引(ライフタイムバリュー)の強化も推進し、住宅購入を接点にリフォームニーズやアフターメンテナンスなどの領域拡大も行う。今後は、M&Aや新規事業も視野に入れ、創業30周年を迎える2033年には売上高1,000億円を目指している。
株主還元では、成長投資とのバランスを図りながら安定的な配当を継続していく基本方針を掲げており、2026年1月期は予想配当性向18%と年間配当金は50円(前期比5円増)を見込む。住宅業界で独自のポジショニングを形成し、上場以来増収を続ける企業としている同社の今後の動向には注目しておきたい。
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