*13:06JST TKP Research Memo(6):相次ぐM&Aや業務提携等により新たな事業領域の創出に向けた体制を整備
■ティーケーピー<3479>の主な活動実績
1. 出退店及び増床の実績
2025年2月期は契約満了等に伴い16施設が退店となった一方、23施設を新規出店し、既存施設の増床を含め、13,868坪増となった(アパホテル6棟を含む)。そのうち、貸会議室(フレキシブルスペース)に限ると約6,000坪の新規出店・増床を達成したことになる。また、2026年2月期については前期を上回る約7,200坪の新規出店・増床を予定しており、既に約4,000坪が決定済である(2025年4月14日時点)。特に、新たに譲り受けたfabbit(レンタルオフィス、コワーキングスペース等)を活用した合同出店に取り組み、市況・オーナー事情に応じて貸会議室・シェアオフィスともに、様々な出店形態を通じてフレキシブルスペースの店舗拡大を計画している。
2. 政策投資・事業提携(2025年2月期下期以降の実績)
2025年2月期上期においては、インテリア事業やスペースソリューション事業を展開するリリカラの連結子会社化(2024年6月20日付)、賃貸関連サービス等を手掛けるAPAMANとの業務提携(2024年8月2日付)などを行った。下期以降については、以下のような実績をあげており、新たな事業領域の創出やグループシナジー実現に向けた体制を整えた。
(1) ノバレーゼの連結子会社化
2024年6月21日付で、ブライダル事業・レストラン特化型事業を展開するノバレーゼとの資本業務提携を締結し、持分法適用関連会社とすると、2024年12月19日には株式の追加取得より連結子会社とした(保有比率60%)。取得価額は総額5,700百万円となり、のれんとして5,379百万円、商標権として5,571百万円が計上された(いずれも15年間の均等償却)。主な目的として、1) 出店ペースの加速を目的とした物件情報連携、2) 地域創生・空間再生事業における協業、3) 積極的なM&A戦略における協調、4) ノバレーゼ施設の平日稼働の促進、5) ノバレーゼ施設の厨房機能の最大活用、6) インバウンド事業注力のための協業などがあげられる。特に4) については、利便性の高い地方都市部を中心に36のブライダル施設※を運営しており、地方中核都市でのスペース確保(厨房機能を含む)や拠点づくりに向けた足掛かりができた。
※ 同じくブライダル事業(24施設)を展開する業務提携先のエスクリは都内が中心のため、エリアでの棲み分けができている。
(2) fabbitの事業譲受
2025年2月28日には、業務提携先のAPAMAN及びその持分法適用関連会社のシステムソフト等より、fabbit事業(レンタルオフィス、コワーキングスペース等)を譲り受けた※1。取得価額は967百万円であり、のれんとして329百万円が計上された(10年間の均等償却)。同社のコア事業であるスペースの時間貸しサービス(会議、研修、セミナー、株主総会、懇親会等)に、月貸し・年貸しサービス(本社・支店機能、サテライト、プロジェクトオフィス、スポットオフィス等)を組み合わせることで、状況や需要に応じた同社ならではの柔軟性を十分に発揮し、期間・用途※2にとらわれない真の意味でのフレキシブルなスペースを提供する考えだ。早速、既存物件の増床・合同出店による「TKP fabbit渋谷」(2025年5月7日出店)、新規物件の仕入れ・fabbit単独出店による「fabbit梅田」(2025年7月15日出店予定)、新規物件の仕入れ・合同出店による「TKP fabbit高松」(2025年夏頃出店予定)が進行中であるが、今後も共同出店・fabbit単独出店に加えて、貸会議室の稼働状況に応じてフレキシブルにfabbitに転換する施策や、同社施設の共有部をfabbitラウンジとして活用するなど、多角的な取り組みを進めていく。これにより、2027年までに100拠点の出店を目指しているようだ。
※1 全国主要都市に18拠点を展開している。
※2 例えば、本社登記が可能なところにも特徴がある。
(3) インターメディアの完全子会社化
2025年3月31日には音響・照明・映像演出の設計・施工を手掛ける(株)インターメディアを完全子会社化した。1) グループ各社施設の照明等の工事、メンテナンス、2) グループ各社施設の照明等のプロデュース、3) 同社のイベントプロデュース事業との連携、4) 同社の音響レンタル事業との連携、5) リリカラのスペースソリューション事業との連携などに狙いがある。
(4) ハークスレイとの業務提携
2025年4月14日に「ほっかほっか亭」などを展開するハークスレイ<7561>と業務提携を締結すると、その一環として、4月24日には、その子会社である(株)味工房スイセン※の発行済株式の35%を取得した。ハークスレイとの業務提携の目的には、1) 同社の顧客基盤を活用した味工房スイセンの販路拡大、2) 同社の懇親会対応キャパシティの拡大、3) 同社の顧客への弁当等のハークスレイグループの製品提供、4) 共同仕入れなどによるコスト削減などがあげられる。
※ ケータリング、お弁当製造、慶事料理、法事・法要料理製造、出張料理、パーティ・イベント企画などを展開している。
3. グループシナジーの実現に向けた取り組み
同社では、連結化したリリカラ及びノバレーゼとのグループシナジーを早期に実現し、グループ価値の増大につなげていく考えだ。リリカラとのシナジー実現に向けては、同社の施設を利用したサテライトショールーム、インテリア販売会を準備中である。また、リリカラとAPAMANの連携を強化し、アパマン管理物件におけるリリカラ商材の活用推進、アパマンFC加盟店及び協力業者への販売促進により、販売数量が増加中のようだ。一方、ノバレーゼとは、広島エリアでノバレーゼ施設厨房から同社施設へのケータリング提供を2025年6月より開始予定である。また、グループ間の役員派遣などを通じた人事交流にも積極的に取り組んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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