*15:12JST 株式会社ケイファーマ×著名投資家はっしゃん氏対談動画文字起こし(12)
ケイファーマ<4896>
また、先ほども申し上げたように、対象となる疾患を拡大し、さらには使用するモダリティ(技術基盤)も多様化させていく計画です。こうした展開によって、新たな治療分野への参入を図っていきたいと考えています。
こちらが最後のスライドとなります。現在、2025年はちょうど開発の第1フェーズから第2フェーズへと移行する過渡期にあたります。今後、アップフロント契約による提携が進めば、契約一時金やマイルストーン収入、さらにロイヤルティ収入が見込まれます。
このスライドは、あくまでも国内の承認取得を前提とした売上計画を示したものであり、これが実現すれば一定の成長が期待されます。さらに海外市場に進出すれば、ここには記載していない縦軸の売上規模も大きく伸びる可能性があります。今後5年程度のスパンで、売上が実際に立ち上がってくると見込んでいます。
●はっしゃん
最後の、成長イメージについて確認させてください。現在の成長計画は、あくまで国内承認取得をベースにした現実的なシナリオに基づいているものと理解しています。仮に国内承認が順調に進んだ場合には、そこから海外展開へと拡張していく余地がある、ということでよろしいでしょうか。
■ケイファーマ 福島様
その通りです。すでに海外展開に向けた動きも始めており、たとえばALSの治療に関しては、日本の厚生労働省に相当する米国FDA(食品医薬品局)とのやりとりを進めています。IND(治験開始届)の申請準備も進行中であり、現地当局とディスカッションを重ねながら、臨床試験の設計などを並行して進めているところです。今後は国内の進捗とあわせて、海外でも同時並行で開発・展開を進めていく予定です。
●はっしゃん
はい。ありがとうございます。
■質疑応答
▲フィスコ 高井
それではここからは、はっしゃん様より福島様の企業説明および直近の決算を受けて、気になった点についてご質問をさせていただきます。
●はっしゃん
まずは、私の方からケイファーマ様に関する質問を差し上げる前に、「理論株価とは何か」について、簡単にご説明させていただきます。「理論株価チャート」とは、企業の決算書を可視化し、企業価値の目安として算出したものになります。最大で過去8年分、33期分のXBRL形式の決算データをもとに算出可能です。
理論株価チャートを作成した背景には、初心者の方でも専門的な金融知識がなくても、株価の目安として活用できるようにしたいという目的があります。従来、株式投資を行うにはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)といった専門指標を学ぶ必要がありました。しかしながら、近年ではNISA制度の拡充などにより、投資を始める個人投資家が急増しており、すべての方に一律で高度な金融知識を求めるのは現実的ではないと考えています。そこで、誰でも直感的に企業の価値や成長性を判断できるツールとして、この理論株価チャートを開発しました。
非常にシンプルな設計で、たとえば成長企業や優良企業であれば、売上や利益が年々伸びていくことから、理論株価も右肩上がりになります。一方で、業績不振に陥った企業や成長の失速した企業については、理論株価は右肩下がりとなります。このように、理論株価チャートを見ることで、その企業が今どのような状況にあるのか、視覚的に把握することができるというのが、この指標の大きな特長です。
具体的に理論株価チャートの見方についてご説明します。一番下に表示されている緑色のラインは「解散価値」を示しており、企業の資産価値を表します。オレンジ色のラインが理論株価を示しており、その他にも、株価との乖離を示す水色のラインや、配当金の推移を示すピンクのラインなどが重ねて表示されます。これらを総合的に見ることで、その企業の現在の状況や将来の見通しを評価できる仕組みになっています。そのうえで、ケイファーマ様の理論株価チャートについて、簡単に診断を行いたいと思います。
理論株価は、上場直後にやや上昇しており、これはおそらく上場時期に一時的に利益が積み上がったことが背景にあると想定されます。しかし、上場後に資金調達を終え、資産が増加した後は、残念ながら右肩下がりの傾向となっています。
補足すると、これはほぼすべてのバイオ創薬系ベンチャーに共通する特徴です。理由は明確で、売上がほとんど立たず、利益も出ていないためです。なぜなら、創薬ベンチャーは新薬の開発段階にあり、薬が実際に承認・販売されるまでの間は収益が発生しないためです。その間、調達した資金を少しずつ使いながら研究・開発を進めていくため、純資産が減少していき、理論株価も下落するという構図になります。これは創薬型バイオベンチャーにとって、ある意味では避けられない実態です。
したがって、投資家側としては、こうした理論株価の推移もある程度織り込んだうえで、将来的な成長可能性を見据える必要があります。また、次回の資金調達によって一時的に理論株価が上昇する可能性はありますが、それが既存株主にとって希薄化リスクを伴う点も重要な視点です。投資家にとっては、できる限り資金調達の回数を抑えながら、その間に新薬の開発を進め、収益化へとつなげてほしいというのが、正直な願いだと思います。
そして、もう一つ注目すべきポイントは「株価の推移」です。ケイファーマ様の株価推移を見ますと、企業価値はほぼ横ばいの状態が続いています。上場からまだ2年足らずですが、現時点でも市場から高い評価を受けていることが読み取れます。これは客観的なデータに基づく見方です。
創薬系のバイオベンチャー企業は、新薬開発の成功までに非常に長い時間と多額の資金を必要とするため、上場直後には一時的な注目を集めるものの、その後は株価が右肩下がりとなり、やがて理論株価に近づいていくというのが一般的な傾向です。私自身、国内の創薬系上場企業を約100社ほど網羅的に見ていますが、その中でケイファーマのように、株価が右肩下がりにならず、比較的安定した推移を続けている企業は珍しいと感じています。理論株価の約5倍程度の株価水準を保っている点は、現時点でも市場が高く評価している証左といえるでしょう。
株価の動きにもう少し細かく触れますと、上場直後はやや緩やかに上昇を続けていましたが、2024年前半にかけて一気に上昇し、一時は1,000円台まで上昇しました。その後やや調整が入り、一時的に下落したものの、2025年3月には再び1,400円台まで上昇しています。直近では再び調整が入り、現在の株価水準に落ち着いていますが、全体としては高値圏を維持しており、依然として市場からの期待が継続している状況といえるでしょう。
この株価の推移を見る限り、おそらく直近の月に市場が好感するような良い材料があったのではないかと推察されます。また、2024年前半、特に5月ごろにも株価が反応しており、それぞれのタイミングでポジティブなニュースが出たと考えられます。
株式会社ケイファーマ×著名投資家はっしゃん氏対談動画文字起こし(13)に続く
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