M&A総研創業者・佐上峻作氏(左)とタイミー社長・小川嶺氏(会社ホームページより)
ニッポンの大富豪と言えば、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正氏(76)やソフトバンクグループの孫正義氏(67)ら、世界的企業の創業者が知られているが、今、「新たな世代」が台頭してきた。30代以下の「平成生まれ」の億万長者が次々と誕生しているのだ。彼らが何者かを知ることは、この国のビジネスの最前線を知ることでもある。徹底調査の結果を見ていこう。
有価証券報告書から抽出
国税庁による「高額納税者ランキング」、いわゆる「長者番付」の公表が廃止されて20年が過ぎた。その後、“億万長者”を知る新たな指標となったのが、保有する株式の時価総額だ。経済ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「本当の大金持ちを知る手掛かりは、保有する株式の時価総額を確認するのが世界でも一般的。特に近年はスタートアップの創業者が、新規上場や企業売却で大金を手にするケースが目立ちます」
事業の拡大に成功した起業家はIPO(新規株式公開)を目指すことが多いが、その舞台に「平成生まれ」の新世代が数多く登場し始めた。平成生まれの起業家の特徴を『経済界』編集局長の関慎夫氏はこう語る。
「かつての起業パターンはその世界に知見があることが前提でしたが、今はまったく知見のない業種・業界であっても平気で飛び込み、起業している。むしろ古い慣習が残る分野にビジネスチャンスがあると捉えている」
本誌『週刊ポスト』は上場企業約4000社の決算書や大株主の情報などを整理する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」協力のもと、有価証券報告書から「平成生まれ」で時価総額10億円以上の株式保有者を抽出。ランキングを作成した。日本経済の今後を左右する存在でもある若き大金持ちの素顔に迫る。