*10:40JST 日本製鉄:構造改革と供給網強化で成長実現、U. S. Steel買収で世界トップクラスの規模を持つグループへ(2)
「日本製鉄:構造改革と供給網強化で成長実現、U. S. Steel買収で世界トップクラスの規模を持つグループへ(1)」の続き
中長期的な成長に向けて、日本製鉄<5401>は「実力ベース連結事業利益6,000億円超の確保」「グローバル粗鋼生産能力1億トン」「事業利益1兆円」を掲げており、幅と厚みを持つ強靭な事業構造へ進化させる。電磁鋼板や自動車向け高張力鋼板(ハイテン)などの高機能鋼材については、電動化・省エネルギー化ニーズの高まりを背景に需要が拡大しており、同社では能力・品質向上に向けた設備投資を継続している。生産能力増強投資はすでに進捗、収益貢献が始まっている。また、北米・ASEAN・インドといった成長市場での一貫生産体制構築や、川上・川下事業(原料調達・加工・物流)への展開を通じ、収益構造の強靭化を図る。海外では、中国発の過剰輸出問題の影響を受けにくく、成長するインド・米国における事業展開のさらなる強化を図る。環境面では、COURSE50(高炉水素還元製鉄)や大型電炉による高級鋼生産など、革新技術を実証段階から実用段階へと移行させており、将来的な競争力の源泉として期待される。
株主還元については、業績に応じた配当として連結配当性向30%程度を目安としている。安定的な高業績による継続的な高水準の株主還元を方針としており、企業価値向上を通じた還元拡大を目指している。直近の株価はやや低調に推移しているが、U. S. Steelの買収は経営の自由度と投資の採算性をしっかり確保していることは同社の説明資料からはしっかりと伝わってくる。従来本格的な事業拠点を有していなかった米国・欧州の拠点を一挙に獲得し、グローバルな広がりと世界トップクラスの規模を持つグループへと進化し他同社の今後の動向に注目しておきたい。
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