*11:01JST 西部ガス Research Memo(1):2026年3月期は経常利益が最高益更新。エネルギー事業成長に向け投資を積極化
■要約
西部ガスホールディングス<9536>は、2030年に創立100周年を迎える西部ガスグループの純粋持株会社であり、2021年4月に福岡地区、北九州地区、熊本地区、長崎地区などを主な供給エリアとする都市ガス会社の西部ガス(株)が商号変更するとともに、西部ガス(株)、西部ガス熊本(株)、西部ガス長崎(株)、西部ガス佐世保(株)に会社分割して事業を承継し、新たなグループ体制に移行した。2026年3月末時点で、傘下に連結子会社45社、持分法適用関連会社5社及びその他の子会社・関連会社を持ち、ガス、LPG、電力・その他エネルギー、不動産などの幅広い事業を手掛けている。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比2.9%増の261,823百万円、営業利益で同18.4%増の12,463百万円、経常利益で同18.6%増の12,583百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同12.3%増の7,147百万円となった。各利益とも2期連続の増益となり、経常利益では過去最高益を更新した。また、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益は過去2番目に高い水準となった。セグメント別に見ると、ガス事業がひびきLNG基地(北九州市若松区向洋町)の減価償却費減少を主因として増益、電力・その他エネルギー事業が電力販売事業の容量拠出金減少や国際エネルギー事業の取引量増加等により増益となり、不動産事業の海外事業における評価損等による減益をカバーして、全社営業利益の拡大をけん引した。
2. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で前期比3.4%減の253,000百万円、営業利益で同19.8%減の10,000百万円、経常利益で同4.6%減の12,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同11.9%増の8,000百万円と親会社株主に帰属する当期純利益を除いて減収減益を見込んでいる。都市ガス料金には原料費調整制度が導入されており、原料の貿易統計価格の3ヶ月平均値に基づき、原則として料金を毎月調整するため、必然的にタイムラグが発生する。2027年3月期の業績見通しでは、都市ガス事業のタイムラグのマイナス影響として22億円を計画に織り込んでいる。前期のタイムラグのプラス影響が1,678百万円の増益要因であったことも勘案すれば、営業利益及び経常利益とも減益の主因はタイムラグ影響と考えられる。
3. 中期経営計画
グループ中期経営計画「ACT2027」においては、国内外の天然ガスニーズの拡大を最大のビジネスチャンスと捉え、徹底的なトランジション需要の獲得やひびきLNG基地能力増強への着手などによるエネルギー事業の成長の加速と、不動産事業の安定的な収益確保により利益を最大化するとともに、グループ経営管理の高度化による資本効率の向上に取り組むことを基本方針と掲げている。中期経営計画の最終年度となる2027年度(2028年3月期)において、ROE8.0%程度、ROIC(投下資本利益率)2.3%程度、自己資本比率23.0%以上、2025年度から2027年度合計の経常利益380億円を財務目標として掲げているが、2026年3月期において自己資本比率24.7%、ROIC2.3%と、この2つの指標については既に目標をクリアした。ただし、ひびきLNG基地能力増強等に伴うキャッシュアウトの本格化などを踏まえると、財務リスクの適正なコントロールに向けて、中期経営計画のキャッシュ・アロケーションに沿った財務運営を進められるかが注目点となる。
4. 株主還元策
「1株当たり70円の配当を下限とした持続的・安定的な株主還元と、中長期の会社業績などを総合的に勘案しながら、自己株買いなどの追加還元策を機動的に実施」を基本方針としている。この方針に基づき、2026年3月期には1株当たり配当金70.0円に加えて、20億円を上限とする自己株式の取得を実施し、総還元性向は63.5%となった。2027年3月期も前期に引き続き1株当たり配当金70.0円を予定している。
また、株主還元強化の一環として、2026年3月期から株主優待制度を新設した。具体的には、毎年3月末日及び9月末日現在の株主名簿に記載または記録された2単元(200株)以上保有の株主を対象に、保有する株式数に応じたポイントを進呈し、グルメ、家電製品、Amazonギフトカードなど、5,000種類以上の商品と交換できる制度である。
■Key Points
・2026年3月期は2期連続の増益となり、経常利益は最高益を更新
・2027年3月期はガス事業等のタイムラグの影響を主因に、経常減益を見込む
・中期経営計画では、エネルギー事業の成長加速と不動産事業の安定的収益確保による利益最大化とともに、資本効率向上を目指す
・2026年3月期は1株当たり配当金70.0円を下限とする安定的配当に加え、20億円を上限とする自己株式の取得を実施
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)
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