2023年11月30日、関東財務局から損害保険代理店としての登録取り消し処分を受けた中古車販売大手ビッグモーター。2023年7月、修理依頼で持ち込まれた車両を故意に傷をつけるなどして損害保険会社に水増し請求をしていた問題が発覚した。急遽開かれた記者会見も火に油を注ぐ結果となったが、年の瀬を迎えても苦境は続いているようだ。
2023年12月13日には“延命”のため、取引先の三井住友銀行が300億円のつなぎ融資を行う方針であることがわかった。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏が語る。
「ビッグモーターの買収を巡っては様々な支援企業の名前が報じられてきましたが、ここに来て名前が上がっているのが伊藤忠商事です。同じ中古車販売業界の『中古車ガリバー』が買収するという話もありましたが、ガリバーにはビッグモーターからの転職組も多く、『買収されても同じ問題が繰り返されるだけ』というのがビッグモーター社員の本音でした。そういう意味で、多くの社員はホッとして喜んでいます。
ただそういう社員の意識を知ってか知らずか、和泉伸二社長は伊藤忠と再建に向けた基本合意書を締結した時点で、社員向けに動画メッセージを送りました。伊藤忠で決まったわけではないことを釘を刺し、顧客や取引先に対して『伊藤忠で決まった』とか『これで安心』などと言ってはならないという内容でした。浮かれてしまうと、ガリバーやネクステージなど競合他社から足をすくわれてしまう。和泉社長はそれを気をつけねばならないと考えたのでしょう」
和泉社長の姿勢を示すように、先日、社員にとってショックな報告があったという。
「社長から社員に対し、今年の冬はボーナスなしということが伝えられたそうです。さすがにボーナスは出せなかったと。ビッグモーターでは例年、暮れも押し迫った12月27日頃にボーナスが支給されていました。ボーナス額も前日まで決まっていなかったそうですが、今年は早々の報告になったということです」(加藤氏)
ボーナスの支給がないことについてビッグモーターに問い合わせると、「恐れ入りますが、回答を控えさせて頂きます」(広報部門)との回答だった。