芸能人の不倫がしばしば世間を賑わせているが、一般人の不倫も許されないのは同じ。7年前の夫の不倫が明らかになった場合、相手への慰謝料請求に時効は存在するか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
女性読者です。夫が亡くなって7年が経ち、たまたま娘が夫所有のノートパソコンを整理していたら、元部下の女性との不倫が発覚。すでに夫はこの世におらず、怒りの矛先はどうしても不倫相手に向かってしまいます。このような場合、不倫相手への慰謝料請求に「時効」というものがあるのでしょうか。
【回答】
夫死亡後、その不貞行為を知った妻が相手の女性に慰謝料請求した事例に接したことはありません。配偶者の不貞行為の相手方に慰謝料請求ができる理由について最高裁は、不貞行為が婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為として不法行為になり、他方の配偶者の被った精神上の苦痛を慰謝する必要があるとしています。
先ごろ、妻の不貞発覚後、だいぶ経ってから離婚した夫が、不貞行為そのものではなく、離婚させたことを不法行為として提訴した慰謝料請求が棄却され話題になりましたが、最高裁は不貞行為をした者が相手の配偶者に対し、不貞行為を理由とする不法行為責任を負うことを否定していません。