「鉛筆ナメナメ」「一丁目一番地」「ケツカッチン」……、おじさん社員が当たり前のように使っているビジネス用語の意味がわからないという若手社員も増えている。そうした用語の中には、野球、ゴルフ、麻雀などに由来する言葉も多く、かつてのビジネスマンにとっては「当たり前のたしなみ」だったものが、いまはそうではなくなっているということ。徐々にビジネスの現場でも死語になりつつあるが、根強く残っているのが野球用語だ。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏(48)が、野球に由来するビジネス用語の世代間ギャップについて考察する。
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今の50代以上の男性社員のなかには、仕事の場で知らず知らずのうちに「野球用語」を使っている人も多いのではないでしょうか。私が若手社員だった頃も、特に上の世代の人たちほど、よく会議中やプレゼン前の道中で発破をかける時に、野球用語を駆使していましたね。
ですが、最近の若い世代の人たちには、そんな野球用語はほとんど通じません。私はフリーになった27歳以降、IT系企業との付き合いが増え、その会社の若手社員と一緒に仕事をしてきました。
この仕事は11年続き、だいたい毎年、新人社員と一緒に仕事していたのですが、2010年頃(当時、私は37歳)から、野球用語が通用しなくなったことを実感し始めたのです。もちろん、私も自分よりも年上のオッサンたちが使っていた野球用語を、敢えて昭和感を出してダサく使っていた面もあるのですが、そのダサさすら理解してもらえない。
ある時、同社の女性新人社員が上司に怒られたことがあったのですが、私のような外注先には愚痴りやすかったのでしょう。そこで「私にはまだ先輩社員のような経験がないのに、同じようにできるわけないじゃないですか……」と嘆きました。そこで私は、彼女にこう言いました。
「打席に入る回数を増やせば、自ずと結果は出てきますよ」