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【注目銘柄】日本ピラー工業:半導体業界の成長を追い風にするグローバルニッチトップ

日本ピラー工業(6490):市場平均予想(単位:百万円)

日本ピラー工業(6490):市場平均予想(単位:百万円)

企業概要

 日本ピラー工業(6490)は、“流体の漏れを防ぐ”シーリングメーカー。石油精製所や化学プラント、発電所やLNGタンカー、医薬品や食品製造、半導体製造まで、あらゆる産業分野にわたって「流体の漏れを防ぐ」製品を展開しています。

 主力製品群は、メカニカルシール、グランドパッキン・ガスケット、フッ素樹脂製流体制御製品「ピラフロン(PF)」ふっ素樹脂応用部品の3つ。グランドパッキン・ガスケット、メカニカルシールは、ポンプや撹拌機などの回転機器に取り付けて、高圧力・高速回転する軸のまわりから流体の漏れを制御する部品。

 主な事業セグメントは、メカニカルシールやグランドパッキン・ガスケットなどを手掛ける「産業機器関連事業」と、主に半導体製造装置向けのフッ素樹脂(ピラフロン)製継手などを展開する「電子機器関連事業」の2つ。

 近年は半導体製造装置向けのフッ素樹脂製継手(ピラーフィッティング)が成長ドライバーとなっており、2023年3月期における売上構成比は、「産業機器関連事業」が24.3%、「電子機器関連事業」が75.6%となっています。

 電子機器関連事業では、フッ素樹脂を調達して継手やチューブやバルブなどに加工します。半導体洗浄装置向けの継手が占めており、同社全体の成長ドライバーとなっています。

 中でも半導体洗浄装置向けのフッ素樹脂製継手は世界90%のトップシェアを誇る主力製品となっており、事業売上の8割を構成しています。

 産業機器関連事業は、売上高の半分をアフターマーケット(メンテナンス)収入が占めています。グランドやメカニカルシールは、様々な流体や環境条件に合わせて一つ一つオーダーメイドしており、納入後のメンテナンスを他のメーカーや業者に頼ることはできません。ですので、納入後も半永久的にメンテナンス売上を上げていくことができる仕組みとなっています。同社の業績を下支えして安定性を高める存在と言えるでしょう。

注目ポイント

 同社の誕生は1924年。船舶用合金製ピラーパッキンを開発したことに始まります。日本で初めて「パッキン」の特許を取得した企業です。その後は自動車用エンジンガスケットを開発し、1938年にはトヨタ第1号トラックに採用されるなど、「気密性や液密性を保たせるシール材」で事業を拡大させていきました。

 急成長を遂げたのは、1950年代。1951年に日本で初めてメカニカルシールを開発し、それがアメリカ石油協会が定めるAPI規格に適合することからエチレンプラントへの採用が拡大したのでした。中国のエチレンプラントでもほとんどのプラントが同社製品を採用したと言います。メカニカルシールは現在でも国内30~35%のシェアを獲得しています。

 以降、同社製品は、石油精製所から化学プラント、発電所、上下水道、船舶など、様々な分野の製造で使用されるポンプやバルブ、撹拌機やパイプの配管接続部に組み込まれ、「流体の漏れを防ぐ」役割を担うようになりました。

 ちなみに、近年「EDP(エミッション・ディフェンス・パッキング)」というメカニカルシールが伸びているようです。これは大気汚染物質排出を規制する米国大気浄化法(CAA:1963年制定)を受け、1994年に本格納入を開始した製品ですが、ここ数年で受注が拡大してきたとのこと。同社では将来的に世界シェアの半分は取れると予想しています。

 環境規制強化の進展が追い風となりそうな製品では、膨張黒鉛編組パッキンもあります。

 1987年に開発した膨張黒鉛編組パッキン「ピラーフォイルマークIII」は世界中のLNGタンカーで使われています。この製品は簡便性及びノンアスベストとして発電所、石油化学プラントなど高温高圧、化学薬品流体のパッキンとして普及拡大しました。

 特に、マイナス200℃の低温環境で使われるLNG(液化天然ガス)にはシール材が使えないことから、世界中のニーズを集めたようです。現在でもほとんどのLNGタンカーと発電所で採用されており、これがないと環境規制に対処できないとまで言われるほど世界レベルで必要な製品に位置付けられています。

【プロフィール】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。

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