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【日本株週間見通し】神経質な展開か 米長期金利と為替動向を注視

 今後は、低金利で借りた円を売って高金利の通貨を買うキャリー取引の巻き戻しなどが進み、為替の円高が日本株の上値抑制要因として働きそうだ。また、米国株の調整にも注意が必要だろう。生命保険会社などの国内機関投資家は米国債の大口投資家であるため、日銀の政策修正によって国内長期債券の利回りが高まれば、国内債券への回帰に伴い米国債が売られ、米国金利が上昇することが懸念される。実際、こうした懸念を反映してか、27日の米国市場では、経済指標を受けて大幅に上昇していた米10年債利回りが日銀の観測報道が伝わったあたりからさらに急伸し、7月7日以来の4%乗せとなった。

 27日に発表された米4-6月期国内総生産(GDP)や米新規失業保険申請件数、米6月耐久財受注速報値などの経済指標は軒並み市場予想に反して改善する形で米国経済の堅調さを裏付けた。これにより、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に一段と高まっていた米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了期待は早々に後退し、追加利上げ懸念が再燃している。日銀の政策修正によるグローバルな資金フローの変化も想定され、今後、米長期金利が4%を超えた後も一段と上昇するようであれば、株価バリュエーションへの下押し圧力を通じて米国株の調整につながることが考えられる。

 この場合、日米金利差の維持ないしは拡大を通じて為替の円高圧力が和らげば日本株は相対的に底堅さを発揮する可能性がある。ただ、日銀のさらなる政策修正への思惑が高まるようであれば、投機筋の円売りポジションの解消が続く可能性もあろう。日銀の政策不透明感を理由に日本株を手掛けづらいと考える海外投資家も出てくるかもしれない。当面は米長期金利と為替の動向を睨んだ神経質な展開が続きそうだ。

 一方、今週は国内企業決算の発表が本格化する。個別株物色が活発化することで商いが膨らむことが想定され、好決算銘柄の買いが決算を受けて売られる銘柄の下落影響を上回ることができれば、株価指数の下支え要因になろう。特に大手商社株などは追加の株主還元の有無に注目したい。

 米国ではアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の決算に注目だ。生成AI(人工知能)ブームに火をつけたエヌビディアのライバルで、AMDも生成AI関連製品の先行きに自信を見せている。これまでの日米の半導体企業やIT大手の決算はどちらかというと生成AIブームへの期待をいったん後退させる内容が多かったが、AMDの決算でこうした期待が復活すれば、日米の株式市場の下支え要因となろう。ほか、米国では供給管理協会(ISM)の景況指数、中国では国家版および民間版の購買担当者景気指数(PMI)が発表される。さらに、週末には米雇用統計が発表予定だ。米追加利上げ懸念が再燃しているなか、注目度は高く、週末にかけてはグロース(成長)株の手仕舞い売りなどに注意したい。

 今週は31日に6月鉱工業生産、6月商業動態統計、6月住宅着工統計、中国7月製造業PMI、ユーロ圏4-6月期GDP、8月1日に6月失業率、6月有効求人倍率、7月新車販売台数、中国7月財新製造業PMI、米7月ISM製造業景況指数、2日に日銀金融政策決定会合議事要旨(6月15-16日開催分)、米7月ADP全米雇用リポート、3日に英国金融政策委員会、米7月ISM非製造業景況指数、4日に米7月雇用統計、などが予定されている。

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