投資情報会社・フィスコが11月6日~11月10日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。米年内利上げ期待の後退でドルは積極的に買いづらい展開となろう。ただ、日本の政府の為替介入への警戒感は続くものの、ドル売り・円買いは限定的となりそうだ。10月31日-11月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利を据え置き。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、引き続きインフレ撲滅に前向きなスタンスを堅持している。
ただ、直近のコアPCE価格指数は前回を下回り、金融当局者から追加利上げに慎重な見解も聞かれそうだ。その際には米金利高・ドル高は弱まるだろう。利上げは来年に持ち越しとの見方が広がれば、米金利安・ドル安の可能性もあろう。それに先立ち、日本銀行は10月30-31日の金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用を柔軟化。本来なら金融政策修正の思惑が広がるものの、事前の報道により円に下押し圧力が加えられた。
ドル円相場は昨年高値の151円95銭が一時視野に入り、政府は円安けん制を強めている。神田財務官はドル売り・円買い為替介入について「スタンバイ」と述べ、警戒感からドル・円は失速した。ただ、財務省が発表した外国為替平衡操作では、10月3日の円急伸が為替介入でなかったことが明らかになり、150円台はドル買い安心感が広がりやすくドルは下げづらい。
【パウエル米FRB議長講演】(9日開催予定)
パウエル米FRB議長は11月9日に発言機会が予定されている。FOMC後の記者会見とほぼ同じ内容が予想されるが、10月雇用統計内容に言及する可能性もあろう。
【米・11月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値】(10日発表予定)
10日発表の11月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は、前回実績の63.8と差のない水準にとどまる可能性がある。期待インフレ率も低下が見込まれ、市場予想を下回った場合、ドル売り要因になりやすい。