「カバードコール戦略」はどうやるのか(イラスト:イメージマート)
株式に投資する方法は、株を購入したり、投資信託を購入したりする以外にも、オプション取引というやり方もある。初心者には難しそうに思えるオプション取引だが、相場歴24年の個人投資家・お菊さんは「カバードコール戦略」なら初心者でも始めてみることができるという。「カバードコール戦略」はどう実践するのか。
初級者から上級者まで、さまざまなスタイルを持つ投資家が集まる「投資家バー STOCK PICKERS」で実際に行われた話を元にまとめられた書籍『投資家バーの常連客から聞いた 投資の成功術』(酒井富士子・著、投資家バー STOCK PICKERS・監修、インプレス刊)より一部抜粋・再構成して、お菊さんが実践する「カバードコール戦略」のやり方を紹介する。
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──オプション取引にはいろんな戦略があって、その中でもお菊さんは安定して薄い利益を狙う戦略を取っていると……。
お菊:そう。最初にネタばらしすると、これは「カバードコール戦略」っていうんだよね。株や株価指数連動ETFなどを原資産に、コールオプションの売りを組み合わせて一定の収益を得る方法さ。
──聞き慣れない用語が……。
お菊:わかりにくいよね。じゃあ、具体例を挙げて説明しようか。
──お願いします!
お菊:簡単にいうと、例えば、現在のアップル株が市場で230ドルの価値がついているとする。売り手の私は、「1か月後にアップル株が235ドル以上に上がりそうもない」と予測して、「1か月後にアップル株を235ドルで私から買う権利」を買い手に売るんだ。
──現物ではなく「権利」を売るんですね。これって買い手は逆に「1か月後にアップル株は235ドル以上になりそう」と予測しているということ?
お菊:その通り。売り手と買い手の予測は常に反対になるんだ。で、僕が主にやっているのは売り手側の取引というわけ。
──でも、どうやって利益を取っていくんですか?
お菊:例えば、1か月後、実際にアップル株が235ドル以下なら、この取引は売り手である私の勝利。買い手からすれば、市場では235ドル以下で買えるアップル株をわざわざ私から235ドルで買うわけないもんね。
──買い手が権利を行使したら損でしかないですね……。
お菊:そうそう。だから買い手は「アップル株を私から235ドルで買う権利」を放棄する。そして、あらかじめ権利を得る代わりに売り手に支払ったお金(例えば、1株あたり5ドル×100株*=500ドル)が買い手の損失、つまり売り手である私の利益になるよ。ちなみに権利の対価のことをプレミアムっていう。権利の買い手が権利を得るために、常にコストを売り手に支払うことになるんだね。
【*米国株オプションは1取引につき100株単位。また、ここではオプション取引手数料や税金を考慮していない】