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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】デジタルグリッド:電力取引の構造転換を牽引する東大発の直近IPO企業

*14:31JST デジタルグリッド:電力取引の構造転換を牽引する東大発の直近IPO企業
【東大発エネルギーテックの直近IPO企業】
デジタルグリッド<350A>は「エネルギーの民主化を実現する」というミッションのもと、東京大学発のエネルギーテック企業として2017年に創業された。再生可能エネルギーを含む多様な電源の直接取引を可能にするプラットフォーム「DGP(デジタルグリッドプラットフォーム)」を展開し、発電家と需要家をシステム上でマッチングさせる仕組みを構築。これにより、従来の電力小売事業とは異なる次世代型モデルを提示し、エネルギー取引の構造転換を推進している。2025年4月22日に東証グロース市場に上場し、今後は調整力事業(蓄電池の保有やアグリゲーションサービス)にも本格的に参入することで、エネルギー制約のない社会の実現を目指す。

【大幅増収効果により営業利益率は42%に】
2025年7月期の通期の業績見込みは売上高5,587百万円(前期比58.9%増)、 営業利益2,362百万円(同52.7%増)と大幅な伸長が期待される。また、当期純利益も1,556百万円(同60.1%増)となる見通しである。DGP取扱高の増加に伴い手数料収入が拡大し、営業利益率は通期で約42%に達する見込みである。契約容量や取扱電力量の拡大が継続し、主要KPIの実績も前年同期を大きく上回って推移しており、質・量ともに足元高い成長が確認されている。

【模倣困難な競争優位性の構築】
同社のビジネスモデルは、電力取引市場におけるプラットフォーマー・モデルを中核に据えている。発電家と需要家を直接結びつける非小売型の立ち位置をとることで、従来の電力小売事業者とは一線を画す差別化されたポジションを確立している。こうしたビジネスモデルは、電力市場の透明性向上や脱炭素化の進展といった構造変化の中で存在感を高めており、同社の成長を支える構造につながっている。
このような独自モデルを支える競争優位の源泉は、主に三点に集約される。第一に、AIを活用した電力需給の自動最適化と、多様な電源を組み合わせた柔軟な調達設計を可能とする高度なプラットフォーム「DGP」の存在である。JEPX(日本卸電力取引所)に加え、ベースロード電源や再エネ電源を組み合わせることで、顧客ごとに価格変動リスクを抑えた最適な電源ポートフォリオを提供している。
第二に、同社の人材構成と開発体制である。電力・IT・金融など多様な分野の専門人材が在籍し、制度変化や顧客要望に迅速に対応できる柔軟性を持つ。特に、内製開発によるスピードと品質の高さは、Google CloudのDORA評価で最上位ランクを得るなど、業界内でも評価をえている。
第三に、ステークホルダーとの強固な連携体制が挙げられる。IPO前までの主要株主として東芝、日立製作所、三菱商事、ソニーグループ、東急不動産、京セラなど我が国を代表する大企業60社を擁し、実証事業や営業面での協業を通じたシナジーを生み出してきた。出資・取引の両面で多様性と分散性を備えており、安定した成長基盤を構築している点も特筆される。尚、IPOに伴い一部の主要株主はコーポレートガバナンスの観点から売出していると思われる。
以上により、他社には模倣困難なビジネス構造を構築できている。

【成長市場を牽引する存在に】
現在、電力プラットフォーム事業における同社のシェアは約10%とされており、今後も市場全体の拡大に伴って着実な成長が見込まれている。特に、市場連動メニュー(ダイナミックプライシング)の普及が進む中、同社の取扱電力量は今後さらに飛躍的に拡大することが期待される。
再エネプラットフォーム事業では、「エコのはし」や「RE Bridge」を通じて、PPAマッチング、再エネ証書の代理調達、自己託送の支援など、需給双方を支援する包括的な業務サービスを展開している。FIT(固定価格買取制度)から非FIT電源への移行が加速する中、こうした取り組みは同社の成長を支える重要なドライバーとなっている。
さらに、蓄電池領域では、他社保有設備を対象としたアグリゲーションサービスに加え、自社開発プロジェクトも進行中である。DGPとの統合運用により、電力供給の柔軟性と収益性の両立を図る構えだ。
これらの取り組みにより、同社の事業には新たな「調整力機能」が加わり、社会インフラとしての完成度が一層高まることが期待される。今後、成長市場を牽引する存在として、いっそう注目が集まるだろう。

<HM>

fisco

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