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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】兵機海運 Research Memo(1):2026年3月期は不確実な外部環境下においても着実な成長路線を維持する構え

*12:01JST 兵機海運 Research Memo(1):2026年3月期は不確実な外部環境下においても着実な成長路線を維持する構え
■要約

兵機海運<9362>は独立系海運会社である。神戸市に本社を構え、神戸港・姫路港・大阪港をベースに、内航・外航の海上輸送、倉庫、通関・国際輸送の各物流サービスを提供している。鉄鋼メーカーが生産する鋼材の海陸一貫輸送が強みである。創業は1942年12月であり、2022年12月には創業80周年を迎えた。同年4月には、東京証券取引所(以下、東証)のスタンダード市場へ移行した。

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の業績は、売上高が前期比6.2%減の13,726百万円、営業利益が同5.4%増の548百万円、経常利益が同8.9%減の618百万円、当期純利益が同15.0%減の435百万円となった。売上高は、海運事業が円安効果などにより増収を確保したものの、港運事業が減収となったことが響いた。港運事業の減収は、2023年10月に従来売上高として計上していた項目を立替金として処理する運用に変更したことが主な要因である。利益面では、外航事業において極東ロシア向け航路に投入していた自社船を前期に売却したことにより船舶の維持管理コストを削減し、収益性が改善した。

2. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績は、売上高が前期比2.0%増の14,000百万円、営業利益が同5.8%増の580百万円、経常利益が同1.9%増の630百万円、当期純利益が同1.1%増の440百万円と増収増益を見込んでいる。同社は外部環境の不確実性が高まっているなか、各事業領域に適した対策を講じることにより収益成長を目指す。内航事業では運航コスト増や人手不足に対応しつつ、船団増強や働く環境の改善を進める。外航事業では建機以外の貨物の集荷を強化し、積載率向上と一貫輸送による付加価値提供に注力する。港運・倉庫事業ではコスト増に伴う価格改定と業務効率化を進めるとともに、高付加価値な貨物への対応力を強化し、営業体制の強化を図ることで、全体として事業環境に即した収益成長を目指している。

3. 中長期の成長戦略
同社は2025年4月30日に長期経営ビジョン「VISION for 2035」と中期経営計画「Road to 2027」を発表し、「“シン総合物流企業”への進化と真価」をスローガンに、従来の枠を超えた統合的な物流ソリューション体制の構築を目指している。中期経営計画は3段階で構成され、第1ステップでは部門連携によるワンストップサービス体制の構築、第2ステップでは収益管理体制と業務プロセスの見直し、第3ステップでは高付加価値サービスの拡充による進化を図る。定量目標は2028年3月期に売上高150億円、当期純利益4.8億円を掲げる。大和工業<5444>との資本業務提携による輸送体制の強化や、船舶・倉庫設備の増強、新規荷主開拓といった施策も進行中であり、安定性と成長性の両立を図る戦略的枠組みとなっている。

■Key Points
・2025年3月期は減収ながら、コスト面の改善により営業増益
・2026年3月期は価格改定の浸透及び収益性の改善により増収増益へ
・中期経営計画を策定、既存事業の深化と新たな収益源の創出により、企業価値の持続的な向上を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)

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