*14:47JST 為替週間見通し:ドルは底堅い値動きか、米緩和姿勢の後退や中東危機への対応で
【今週の概況】
■中東情勢悪化で安全逃避的なドル買い強まる
今週の米ドル・円は強含み。中東情勢の緊迫化や株安を警戒して週初に143円65銭まで米ドル安円高に振れる場面があったが、週後半にかけて米ドル買い・円売りが強まり、5月下旬以来となる146円台前半まで米ドル高円安が進行した。6月17-18日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利の据え置きが予想通り決まった。ただ、年内の利下げを想定していないメンバーが前回の4名から7名に増えており、利下げサイクルの終了を意識した米ドル買い・円売りが広がった。FOMCの声明で経済活動が引き続き堅調なペースで拡大していることや労働市場の状況は引き続き堅調であり、インフレ率は依然やや高止まりしているとの見解が提示されたこともドル・円相場を下支えした。
20日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時146円22銭まで上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事が7月利下げの可能性について言及し、ドル売りが一時優勢となったが、「イランはウラン濃縮制限を協議する用意あり、欧州諸国とさらなる対話の準備がある」との報道を受けてイランの核開発問題を巡る外交的解決への期待が浮上し、リスク回避の円買いは後退。米ドル・円は146円13銭でこの週の取引を終えた。今週の米ドル・円の取引レンジは143円65銭から146円22銭となった。
米ドル・円の取引レンジ:143円65銭-146円22銭
【来週の見通し】
■ドルは底堅い値動きか、米緩和姿勢の後退や中東危機への対応で
来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月18日に公表した金融・経済の見通しにおいて、インフレ率の上方修正、成長率の下方修正、失業率上昇の予測が提示されたものの、年内の利下げ回数はゼロとの予想が増加している。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は景気に対する不確実性は依然として高いと指摘したが、緩和的な政策姿勢を後退させたことにより、ドルは売りづらい展開となりそうだ。
中東情勢に関してはイスラエルとイランの戦闘が続いており、米国がイラン攻撃に加担する可能性も浮上している。米国の参戦は世界経済の不確実性を高める一因となるが、中東情勢の悪化を懸念して原油価格は上昇しており、大幅な原油高によって日本の貿易収支は悪化するとの見方もドル買い材料となり得る。
【日・6月東京都区部消費者物価指数】(27日発表予定)
6月27日発表の6月東京都区部消費者物価指数(CPI)は、5月実績の前年比+3.6%を上回るか注目される。ただ、市場予想と一致、または上回る内容でも早期利上げ期待は高まらず、現時点では円買い材料になりにくい。
【米・5月コアPCE価格指数】(27日発表予定)
6月27日発表の米5月コアPCE価格指数は前年比+2.6%と、前回の+2.5%を上回る見通し。インフレ圧力は依然として強く、利下げ観測後退によりドル買いを後押ししよう。
予想レンジ:144円50銭-148円50銭
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