*12:09JST ソフト99 Research Memo(9):海外向けカー用品と半導体製造ライン用産業資材の今後の成長に期待(1)
■ソフト99コーポレーション<4464>の今後の見通し
2. 中期経営計画の進捗状況
(1) 中期計画の概要と経営数値目標
同社は2024年3月期から第7次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)をスタートしている。「Evolve!!~進化せよ!!~」をテーマに掲げ、デジタルを活用し、心揺さぶられるアナログ的(エモい)価値を創り出す『ヒト(人財)』を育て、その価値を通して社会課題の解決に貢献することを目指している。重点施策として「価値提供方法の多様化」「海外展開強化」「医療分野強化」の3点に取り組み、積極的な投資と併せて「デジタルの活用」による高付加価値製品・サービスの提供により、利益成長と資本効率の改善を目指す戦略を推進している。
最終年度となる2026年3月期の業績目標として、売上高31,700百万円、営業利益3,780百万円を掲げていたが、既述のとおり売上高は30,300百万円、営業利益は3,630百万円とそれぞれ1,400百万円、150百万円引き下げた。2025年3月期まではポーラスマテリアル事業をけん引役として計画を上回る進捗であったが、ファインケミカル事業の伸び悩みにより見通しを引き下げた格好だ。2026年3月期の事業セグメント別目標と直近の計画との差異要因は以下のとおりである。
(2) ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の業績は売上高で1,550百万円、営業利益で910百万円引き下げ、2023年3月期とほぼ同水準となる見通しだ。売上高は海外向け他社製品の仲介取引から撤退したこと(2025年3月期の売上規模は約15億円)や家庭用製品の苦戦が続いていること、また利益面では一般消費者向け製品販売の強化に伴う広告宣伝費の増加を見込んでいることが主な下振れ要因となる。なお、海外向け他社製品の仲介取引を除いたベースでは、売上高は年率2.4%成長となる見込みだ。
業績数値だけを見ると芳しくないように見えるが、同社が重点施策として取り組んでいる「価値提供方法の多様化」や「海外展開強化」については着実に進んでおり、今後の成長に向けた事業基盤の強化が着々と進んでいるものと弊社では評価している。「価値提供方法の多様化」として、デジタル技術を活用した付加価値サービスの提供に取り組んでいる。具体例として、2024年11月にオープンしたキャッシュレス型洗車場「ALAUDAY」が挙げられる。同洗車場は屋根付き型個室ブースを時間貸しするサービスで、洗車ブースのゲート解除から利用終了、支払決済まですべてスマートフォンアプリで完結するサービスである。
サービス料金は30分で1,650円と通常のコイン洗車場の顧客単価が300~700円程度であるのに対して、高価格設定となっている。ただ、時間内であれば洗浄設備や清掃設備などは使い放題であり、車の愛好家で洗車にこだわりを持つ顧客層をターゲットとしている点が特徴だ。このため、1回の利用で2~3時間かけて洗車をするユーザーも少なくないと言う。1号店では6台分のブースを整備しており、2025年4月に月間売上で過去最高を更新するなど徐々に客数も増加しているようだ。当面はスマートフォンアプリの改修や機能強化も含めてビジネスモデルの確立に取り組む方針で、将来的にはFC展開を目指す。加盟企業としてはカー用品専門店やホームセンターなどを想定しており、集客ソリューションの1つとして洗車サービスの導入を提案していく。「ALAUDAY」の店舗が拡大していけば、洗車・清掃時に使用する自社製品の売上が拡大する可能性があるほか、「ALAUDAY」の会員に対して自動車鈑金・美装サービスなどグループ内の他のサービスを紹介しグループシナジーを創出することも可能になるため、今後の動向が注目される。
「海外展開強化」としては、各進出地域の現地語にあわせたパッケージ製品や専売品の販売強化に加えて、SNSを活用したプロモーション戦略を現地代理店などと協業しながら進めており、これらの成果により海外向け自社製品の売上高は2023年3月期の約10億円から2025年3月期は約14億円へと伸長した。今後は既存エリアにおけるさらなる拡販を進めていくほか、アフリカや米国市場の開拓も視野に入れている。アフリカについては徐々に売上実績も出始めている。米国市場については現地メーカーが強いこともあり、新規参入が容易ではないが代理店を活用しながら時間をかけて開拓していく考えだ。
そのほかトピックスとして、2025年3月にKeePer技研が同社株式の12.38%を取得したことを発表した。現在、KeePer技研とはカー用品に関する調達・開発・販売においてシナジーを最大化するための協議を進めている段階にある。コーティング剤については競合関係にあるため、すぐに協業する可能性は低いと見られるが、洗車用品などその他のカー用品については、OEM販売なども含めて比較的早期に協業に発展する可能性があり、同社にとっては販路が広がることで売上を拡大できる好機となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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