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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】スパークス G Research Memo(1):伝統的な投資戦略、オルタナティブ投資戦略を展開する独立系資産運用会社

*12:01JST スパークス G Research Memo(1):伝統的な投資戦略、オルタナティブ投資戦略を展開する独立系資産運用会社
■要約

1. 会社概要
スパークス・グループ<8739>は、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニーになる」というビジョンの下、上場株式への伝統的な投資戦略だけでなく、オルタナティブ投資戦略も併せ持つユニークな資産運用会社である。1988年に設立された独立系アクティブ運用会社のパイオニアであり、今ではファンド業界で当たり前の手法となった「ロング・ショート戦略※」を運用手法として日本で初めて導入するなど、独自の運用手法を確立してきた。2001年にJASDAQ市場に上場、2019年には、日本の独立系運用会社としては日本初となる東京証券取引所(以下、東証)第1部への上場を果たし、アクティブ運用会社として業界をリードし続けている。2022年4月の同市場区分見直しにより、現在はプライム市場に上場している。

※ 値上がりが期待できる割安な銘柄を買うとともに値下がりが予想される割高な銘柄を空売りすることによって、株式相場が下落してもリターンを確保する手法。

同社グループの事業は、日本株式に投資・運用する「日本株式」、韓国及びその他のアジア地域の株式に投資・運用する「OneAsia」、再生可能エネルギー発電所などに投資・運用する「実物資産」、ベンチャー企業投資(未公開株式投資)やバイアウト投資を目的としたファンドを組成・運用する「プライベート・エクイティ」の4本柱である。これらを成長実現のための注力事業と設定している。日本株式およびOneAsiaの収益モデルは資産運用残高に基づく残高報酬に加え、ロング・ショート投資戦略や企業価値創造投資戦略など成功報酬が付帯する戦略を持つことで、高収益な事業基盤を構築できている。上場株式の運用は、短期的な設定、解約が可能であり、株式市場の好不調の影響を受けやすい特性がある。一方、実物資産投資やプライベート・エクイティの残高報酬は、契約期間が長期に設定されていることから、短期的な市況変動の影響を受けにくいため、非常に安定的な収益基盤を構築することができている。さらに、実物資産、プライベート・エクイティもそれぞれ運用するファンドの特性に応じた成功報酬が設計されており、より高い収益性を実現することができる。これら4つの柱を併せ持つことにより、高収益性と安定性の両立を実現している点が同社の大きな強みである。

2. 業績動向
2025年3月期の連結業績は、営業収益が前期比8.9%増の17,961百万円、営業利益が同3.2%増の7,717百万円、経常利益が同3.9%減の7,778百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.4%減の5,252百万円となった。営業収益は、平均運用資産残高が前期比14.2%増の19,122百万円と増加し、残高報酬(手数料控除後)が同9.7%増の12,867百万円と拡大した。他方で、成功報酬は同7.6%減となったものの、「プライベート・エクイティ」の未来創生ファンドにおいて初の成功報酬(8億円)を獲得しており、過去の推移と比較すれば依然として高水準を維持している。利益面では、人件費の増加やオフィスの拡張などを背景として経常的経費が同14.3%増加したものの、増収効果により打ち返し、営業増益を確保した。同社が重要な経営指標として掲げている基礎収益※は、同5.9%増の6,722百万円と過去最高を更新した。なお、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は減益となったが、主な要因は為替差益及び投資事業組合運用益の減少などによる営業外収益の縮小、投資有価証券売却益の減少に伴う特別利益の減少である。

※ 基礎収益は「手数料控除後の残高報酬-固定費などの経常的経費」と定義される。成功報酬など、変動の大きい要素が含まれていないため、投資運用会社の収益の安定性を見るうえで重要な指標となる。

2026年3月期の業績予想については、主事業である投信投資顧問業の業績が経済情勢や相場環境に大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識し、開示していない。短期的には不安定なマーケット環境の影響を受けやすいと見られるものの、運用体制の強化と運用資産残高の着実な積み上げにより、安定的な収益成長が期待される。

3. 中長期成長戦略
中長期成長戦略として、4本柱である「日本株式」「OneAsia」「実物資産」「プライベート・エクイティ」の運用資産残高を着実に増加させる方針。2026年3月期までに2021年3月期末の1兆5,356億円から2倍の3兆円に増加させることを目標として掲げていたが、2025年3月末時点の運用資産残高は約1兆8,720億円であり、目標との差が大きいことから当面の目標を設定。過去4年間にわたり、同社は毎期約3,000億円の資金流入を維持してきたものの、好調なファンドパフォーマンスに伴う利益確定売却や投資家のポートフォリオリバランスに起因する解約などにより、流出額も流入額と同程度となった模様である。今後は引き続き運用資産残高の拡大に向けて、運用パフォーマンスが振るわなかった戦略をほかの投資戦略で補完するとともに、継続的な新規顧客の獲得を進め、同社の過去最高の2兆241億円の早期達成を目指す方針である。

■Key Points
・日本株のアクティブ運用を主軸に、オルタナティブ投資戦略を展開する独立系の投資会社
・2025年3月期の平均運用資産残高は2ケタ増、基礎収益は過去最高を更新
・独自の運用哲学を貫き、運用資産残高の過去最高2兆241億円の早期達成へ

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)

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