*13:10JST 橋本総業HD Research Memo(10):2026年3月期は、新たな事業・取り組みも加わり2ケタ営業増益予想
■橋本総業ホールディングス<7570>の業績動向
3. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の連結業績は、売上高が174,000百万円(前期比5.2%増)、営業利益が2,800百万円(同14.6%増)、経常利益が3,700百万円(同6.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,900百万円(同0.3%増)と、引き続き増収増益を見込んでいる。
地域に密着した営業により、7つのみらい「社会変化への対応」「環境・エネルギー」「リフォーム需要」「健康・快適(GX)」「安全・安心」「地域活性化」「DX デジタル化」を中心に、既存分野でのシェアアップに取り組む方針だ。特に顧客満足の向上に注力しており、スピードの向上が求められる見積もりではタイの積算センターを活用する。商品提案では、通期でみらい会を全国22ヶ所で開催し、メーカーによる商品提案、月刊誌への商品の掲載、実地研修や個別の出前研修、販売店と同伴して工事店へ営業などを行うほか、インフラ面でも、東雲東京配送センターの追加倉庫、沖縄での移転増床、千葉の利便性向上などを進める。みらい市は、上期に北海道、東北、九州で開催し、下期には愛知、広島、東京で開催を予定している。Web・リアルともに内容を強化するとともに、実際に利用する工事店への参加の働きかけを強め、総計で中期計画の目標と同じ5万人の動員を目指している。一部のみらい市については、開催を金曜日から金曜日と土曜日に拡大して動員を促す。
新分野では、建材や電材、土木商品などのラインナップを拡充、ガスなどの燃料ルートや建材などの木建ルートなど新たな販路を開拓する。建材商社の双日建材との間では、これまでの建材・管材販売における協業に加え、設計支援サービス分野で新たな取り組みを開始する。同社が積算センターなどで培ってきた設計・積算・CADのノウハウをベースに、双日建材の顧客ネットワークと組み合わせることで、ビルダーや工務店の構造計算・省エネ計算などをトータルで支援する体制の構築を目指す。また、建設の2024年問題を受け、橋本総業ファシリティーズのメタルワークス推進部では、大手施工会社向けに、空調設備の架台製作やユニット、材工(架台製作+架台取付)のプレハブ加工やオフサイト生産を受注することになった。商品の保管も行っており、既に首都圏で納入実績が増え、九州では半導体案件を納入済み、北海道でも案件が進行中と好スタートだ。現場で省人化や省施工化に大きく寄与することが好スタートの要因と思われる。さらに、物流の2024年問題では、販売実績と信頼関係を背景にメーカー物流の受託を増やす計画である。
このほか、DXにより受注や見積もりから出荷までの業務の効率化を進め、さらに業務システムのプログラムの汎用性を高めることで、2025年10月に外部向けにリリースする予定だ。加えて、AIを載せるための研究開発も進めている。組織面では、営業を地盤の東日本のほか、中日本と西日本の3支社制とし、東日本と西日本に商品部を設置する。特に小さい卸が多く未開拓の西日本では、拠点づくりや新規開拓、取り扱いメーカーの幅と量の拡大を重点的に進め、仕入先と親密な関係を醸成することでシェアアップを図る。
売上面では、空調機器の好調継続や衛生陶器の挽回、住設各社の拡大に加えて、メーカー物流の受託や積算センターの活用、プレハブ加工やオフサイト生産の受注により増収を目指す。売上総利益については、仕入、販売価格の管理強化により利益率の向上に注力し、販管費については、引き続きコスト削減を図る。これにより2ケタ営業増益を目指すが、足元は引き続き空調機器・ポンプが好調で、好スタートとなったもようだ。なお、経常利益以下の伸びが小さいのは、金利の上昇や前期に発生した特別利益がはく落することを想定していることによる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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