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【注目トピックス 日本株】ユビAI Research Memo(11):IoTセキュリティ需要を追い風に、量子暗号など成長領域へ投資加速

*11:11JST ユビAI Research Memo(11):IoTセキュリティ需要を追い風に、量子暗号など成長領域へ投資加速
■ユビキタスAI<3858>の中期経営計画(2026年3月期-2028年3月期)の概要

また、IoT領域で顧客ニーズが急増している案件がセキュリティ対策だ。同社が長年の強みを持っているのは、特に現実世界(Physical)に近い「デバイスセキュリティ」と「デバイス周りのサイバーセキュリティ」だ。近年では、悪意あるサイバー攻撃が急増・高度化しており、サイバーセキュリティ強化は経済安全保障の観点からも重要視され、欧米、日本ではサイバーセキュリティ関連法案が次々と導入されている。そのため、経済安全保障関連の基準や法規制の整備が進み、製品がグローバルに流通する国内メーカーなどの法令準拠ニーズが増加、顕在化してきている。内閣府の国家安全保障重要技術プログラムのなかで示されている4領域(海洋領域、宇宙・航空領域、バイオ領域、領域横断・サイバー空間領域)の技術のなかでは、「不正機能検出技術」と「セキュアなデータ流通を支える暗号関連技術」が同社の取り組んでいる重要な技術領域となっている。「不正機能検出技術(ファームウェア・ソフトウェア・ハードウェア)」においては、同社のセキュリティ脆弱性検証ツール・サービス、SBOM作成ツール・サービス、セキュリティガイドライン適合検査などの既存の製品・サービスの提供により、製品の上流工程である設計段階からセキュリティの知見を提供することで、リスクを未然に防ぎ、信頼性の高いシステム構築を実現する高付加価値なセキュリティコンサルテーションを提供している。「セキュアなデータ流通を支える暗号関連技術領域」では、同社においてNIST(米国国立標準技術研究所)で標準化が進められている次世代暗号アルゴリズム(量子コンピーターでも解読困難な耐量子暗号アルゴリズム)の研究とデバイスへの実装に取り組んでいる。既に、仕様及び処理アルゴリズムの概要に対する理解を深めるとともに、NISTの選考に残ったアルゴリズム4方式すべてに対して自社環境への実装とシミュレーションによる動作検証までを行い、一定の成果を得ている。2024年には、シミュレーション環境から汎用32ビットマイコン評価ボード環境への移行も実現しており、汎用組込みプロセッサへの実装を実現するためハードウェア及びソフトウェア全体のセキュアな構成の検討を進めているところだ。量子コンピューター関連という目線でも動向に注目しておく必要があるだろう。

こうした事業環境下において、IoTセキュリティ領域を皮切りに成長事業を拡大し、CPSフレームの構築を進める計画だが、中長期的には、IoTソリューションを軸としつつ関連領域である「AI領域」や「Big Data領域」の強化施策を実行し、より全体最適なCPSフレームのソリューション提案ができるケイパビリティ構築を目指す。AI領域では「HEXAGON」というテクノロジー創出のプラットフォームを活用して、AIスタートアップとの共創、Edge AIなどのエンドポイントであるIoTデバイス領域での技術・サービス拡大を目指す。Big Data領域では、ライトストーンがデータ収集・分析に強みを持っており、クラウドサービス事業者などとのアライアンスを起点にしたデータ収集領域の拡大、収集されたデータに対しての業界特性や専門性が求められる分野でのキャパシティ強化を目指す。

なお、IoTセキュリティ関連で高成長を目指すうえで、不足する部分は戦略的にM&Aやアライアンスで補填・拡充していく。組込み向けセキュリティ自社製品、デバイスセキュリティの専門家(暗号、認証、企画対応可能な専門家が多い)、侵入経路になりうる通信、デジタルインターフェース規格の知見(USB、Wi-Fi、Bluetoothなど多数のデジタルインターフェース標準規格に精通)などは保有しているが、クラウド上で稼働するIoTデバイスのセキュリティ関連の技術・サービス、セキュリティ対策を会社単位で提案できるコンサルティング機能、ハードウェアのセキュリティ検証や商材などは保有していないため、今後補填・拡充の対象領域となる。

インオーガニックでの成長を確保していくために、以下のような戦略的に補充・拡充すべき事業領域について、案件ごとにバリュエーションやシナジーを考慮しながら、積極的に連続したM&A戦略を実行していく計画だ。IoT関連事業においては、小規模でも専門領域に強みを持つデバイスセキュリティ事業者、ITを含めたセキュリティ関連企業など、IoTセキュリティ領域のカバレッジ拡大に向けた注力領域への積極投資、自動暗転、ロボティクスなどの普及によるニーズ拡大と少子化による人材不足対応、コア領域の人員補強による短期的な競争力強化のため現業組込みソフトウェア領域の人的・技術的補強を目的としたコア・コンピタンス進化への補強投資を行う。「AI」「Big Data」関連事業においては、IoTの強みを生かすためのAI製品・サービス・人材の確保、IoTデバイス側のAI製品を実現するための人材確保など、Big Data・AI関連の中長期的なケイパビリティ拡大への未来投資を行う。IT関連事業においては、特に製造業に強いIT系企業 、Webシステム・インフラ・アプリケーションなど、組込みソフトウェアとの組み合わせによるトータル提案のできるIT関連の人員増強に投資していく。

一方、オーガニック領域の事業戦略は、CAGR5%程度の安定的な売上成長を維持しつつ、未来への投資資金創出のため、生産性向上、営業力強化、アップセル/クロスセル、安定成長により、さらなる高収益化の実現を目指していく。そのためには、グループ各社の横断的な提案・取り組みにより、製造業顧客の開発プロセス課題を全方位で解決する。SP事業においてはグレープシステム製品とのクロスセル、SD・DA事業においてはラインナップを補完し既存顧客へのクロスセル・アップセル、SS事業においてはアプリからグレープシステムの組込みソフトウェアの開発までのカバーを行うなど、グループの連携によりシナジー効果を最大限発揮していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)

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