14位に入った野村総合研究所社長の柳澤花芽氏は、「女性は産む機械」発言の柳澤伯夫元厚労相の長女だが、自身は女性の働き方を改革した。『経済界』編集局長の関慎夫氏が言う。
「昨年4月に野村総研として初の女性社長に就任しました。東大文学部卒の才媛で、新卒入社から同社一筋の叩き上げ。最初はコンサル業務ではなくシステムエンジニアとして分析などを担当していた。子育ての経験を経て、人事担当の役員時代は女性の復職率をほぼ100%にした実績が知られています」
20位の伊藤忠商事常務・茅野みつる氏は総合商社の女性役員として初の1億円超えとなった。
「広報部長を兼任していて、昨年、私が岡藤正広会長を取材した際にも同席されていました。国際弁護士として活躍していたところ、2000年に香港でスカウトされたそうです。言葉遣いも物事の進め方も論理的で、切れ者という印象。一方、声楽家としての活動にも熱心で、リサイタルを行なっているそうです」(前出・関氏)
21位にランクインした富士フイルム専務の吉澤ちさと氏にはこんなエピソードが知られているという。40代の富士フイルム社員が言う。
「広報畑でキャリアを積んで出世した人。ズバズバと意見を言える人として有名ですが、新入社員時代、社内報で自分を動物にたとえる紹介の欄に『自分はカモノハシ』と書いたんです。きっと“(オーストラリアにしか生息しない)珍しい動物”という意味なのではといわれていますが、貴重な能力を持つと評価されて出世したのでしょう」
高額報酬に見合う活躍をする女性役員が増えれば、日本企業にとってプラスは大きいはずだ。関連記事《【女性役員の報酬ランキング】1位は7億円…日立、リクルート、バンナム、LIXILなど…年収1.5億円超えトップ22人の履歴書》では、年収1.5億円を超える女性役員22人について、エピソードも交えてランキング形式で紹介している。
※週刊ポスト2025年8月29日・9月5日号