PERは絶対評価でなく相対評価でとらえる
【1】EPS(1株当たり利益)
税引後当期純利益を発行済み株式総数で割ったもの。
【2】PER(株価収益率)
株価をEPS(1株当たり利益)で割って算出。
「PERは必ずしも低ければ低いほどいいわけではない。“何倍以下なら割安”という絶対評価ではなく、市場平均と比べて割安か割高かという相対評価でとらえた方がいい。日経平均株価のPERは一般的に14~16倍程度が適正水準とされますが、市場参加者の投資熱によっても変わるため、楽観的な見方が広がって過熱感が高まっているような時は市場平均も20倍くらいまで跳ね上がるし、悲観的な見方が増えている時は14倍程度まで下がる傾向があります。また業種によっても異なり、たとえば証券や海運、不動産、商社といった市況に左右される業種は将来の予想が見えづらいのでPERが低くなる傾向も見られます」
【3】BPS(1株当たり純資産)
会社の資産から負債を差し引いた「純資産」を株主資本(株主から出資された資本金や資本剰余金、利益剰余金など)といい、それを発行済み株式総数で割って算出。数値が高いほど企業の安定性も高いと評価される。
【4】PBR(株価純資産倍率)
株価をBPS(1株当たり純資産)で割って算出。これが1倍を下回っていると、株価がその企業の純資産よりも低く、「PBR1倍割れ」として割安と判断されることが多い。
見かけ上の高ROEに騙されないようにしたい
【5】ROE(自己資本利益率)
株主資本を税引後当期純利益で割ったもの。基本的には、この数値が高ければ、少ない資本で利益を出せているということで、効率的な経営をしていると判断できる。
「ただし、ROEは高ければ高いほどいいわけでもない。分母に当たる純利益が少なくても、分子に当たる自己資本を極端に少なくすれば、見かけ上のROEは高まるからです。たとえばROEが『8%以上』と『20%以上』の銘柄だったら、『8%以上』で十分。年8%で資本を運用できれば10年で倍になるので、安定的な成長が望めるといえるでしょう」
こうした基本となるファンダメンタルズ分析を習得しておけば、市場のムードに流されることなく、基本に裏打ちされた精度の高い予想が可能になるだろう。
「『風が吹けば桶屋が儲かる』ということわざがありますが、基本を押さえれば、より可能性の高い未来を予想する“連想ゲーム”につなげることもできるようになります。株式投資で大きな利益を目指すなら、この確からしい連想ゲームをいかにできるかが勝負のカギを握るといえるでしょう」
マネーポストWEBの関連記事『俺がカブ番長!』では、藤井氏監修のもと、勝てる投資家になるためのあらゆる手段をコミック形式で紹介している。9月3日公開の第4回では、本記事で紹介したファンダメンタルズ分析についてさらに詳しく解説するとともに、“連想ゲーム”の具体例についても紹介している。