幾多の難局を乗り越えてきたペリカン氏の投資資産の推移(同氏作成)
株式投資で億超えの資産を築いた“億り人”も、その投資遍歴のなかでは手痛い失敗を経験している。高配当株と株主優待株の「ハイブリッド投資」で億り人になり、40代でFIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現した専業投資家のペリカン氏もそのひとりだ。投資で築いた資産は約2.8億円、年700万円の配当収入を得て悠々自適な配当金生活を満喫中だが、資産を増やす過程では大ピンチも経験したという。
IPOデビューでいきなり2000万円の爆益
投資歴28年のペリカン氏が投資を始めた時期は、会社員として働いていた20代半ば頃。最初は株式投資ではなく、銀行預金の一部を元手に1万米ドル(当時の為替レート約115円で換算すると約115万円)を購入した外貨預金だった。その次は投資信託、さらに日本株の個別銘柄へと徐々に運用・投資商品を広げていった。
「当時、朝晩のニュースや新聞で為替の値動きを追うのが面白くなり、同じように株価が変動する株に投資してみたくなったのです。最初に買った個別株は証券会社に推奨されていて、値上がりしそうな株と思ったファーストリテイリング(現・東証プライム9983)、ワールド(現・東証プライム3612)、光通信(現・東証プライム9435)、フェローテック(現・東証スタンダード6890)の4銘柄でした。株投資を始めて1~2年もすると自分で選ぶようになっていました」(ペリカン氏。以下「」内、同じ)
ペリカン氏が株式投資を始めた1990年代後半は、証券会社といえば対面証券会社(店舗型証券会社)が主流で、ネット証券が登場し始める時期と重なる。株式売買手数料の自由化などを盛り込んだ金融制度改革、通称「日本版ビッグバン」の推進を背景にネット証券が台頭してくる頃であり、ペリカン氏はその波にも乗った。
「1999年、開業したネット証券が新聞に、口座開設するとソフトバンク・テクノロジー(現・SBテクノロジー。2024年、東証プライム上場廃止)のIPO(新規公開株)に応募できるキャンペーンの広告を出していたのを見て、興味本位で応募したところ、抽選で当選したのです。公開価格4600円で取得した株が初値4万円をつけ、いきなり8倍超に。その後、テンバガー(10倍株)も達成しました。株価5万円ぐらいになった時に500株すべて売却したのですが、税金を差し引いても2000万円もの利益を数日で手にすることができ、すっかり株式投資の醍醐味に目覚めました」