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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】室町ケミカル Research Memo(8):事業再構築と成長基盤固めに取り組む「中期経営計画2028」を発表(3)

*13:08JST 室町ケミカル Research Memo(8):事業再構築と成長基盤固めに取り組む「中期経営計画2028」を発表(3)
■室町ケミカル<4885>の今後の見通し

(3) 全社的な取り組み
売上及び取扱品目の拡大に伴い、本社工場施設(製造/物流スペース、給排水能力)や、人材を含めたキャパシティの増強を進めていく。製造スペースや人材に関しては事業撤退を決めた健康食品事業の設備スペースや人材を活用する予定だ。このため今後3年間の正社員数については前期末比でほぼ横ばい、パート社員については健康食品事業で大半を占めていたため、減少する見込みとなっている。

物流倉庫については、医薬品の取扱品目拡大に合わせて増強し、2028年5月期には現在の2倍弱となる計画だが、一部社外の倉庫の活用も検討している。また、検査機器の自動化を進めることで作業時間の短縮と人為的ミスの削減に取り組む。給排水設備については増産計画に合わせて増強する予定だ。

その他、人的資本経営に対する取り組みとして、「採用」「育成」「評価」「社内環境」の改革を進めるべく、2026年5月期より人事評価制度のより効果的な運用や、パソコン・ITインフラの更新を実施、2027年5月期より階層別研修を含めた研修プラン、キャリアパスの明確化、働きやすい制度や社内環境の構築に着手する。また、「チャレンジを推奨する文化」を醸成することで、社内の活性化を図る。

成長投資と財務健全性のバランスを取りつつPBR1.5倍超を目指す

3. 資本コストを意識した経営の実現に向けた対応
同社は2025年5月期までの企業価値に対する株式市場の評価について、PBRでは1倍を上回り一定の評価を得ているものの、PERは東証スタンダード市場の平均(14.6倍)を下回る水準で推移しており、成長期待値の部分において改善余地があると認識している。

同社ではPBR1.5倍以上を目標水準に設定しており、その達成に向けて積極的な成長投資と財務健全性(自己資本比率35~50%)とのバランスを取ったうえで、安定的な株主還元を実施していく。また、PBRの向上を図るべく、その構成要素であるROE、PERの維持向上に取り組む。ROEに関しては高付加価値商品の投入や製造効率の改善による収益力の向上と成長投資の促進により10%以上の水準を目指す。また、PERについては株式市場の動向など外部環境の変化による影響を受ける部分もあるが、株主還元の強化(累進配当の導入、中間配当の実施)と成長期待の醸成によって、15倍以上の水準を目指す。具体的には、成長期待の大きいPFAS関連など新規分野(市場・ビジネス)への積極進出や人的資本への投資、IR活動の充実を進める。

また、3年間のキャッシュアロケーションについては、投資計画金額(キャッシュアウト)1,923百万円のうち、516百万円を経営基盤維持のための設備投資、657百万円を新規開発や成長投資のための設備投資、150百万円を人的資本投資にそれぞれ投下し、株主還元として300百万円、M&A準備資金として300百万円を見込んでいる。これらの投資金額に対して3年間の営業キャッシュ・フローは1,400百万円を計画しており、不足部分については借入金で充当する考えだ。なお、M&Aの対象として医薬品事業では販路拡大など、化学品事業では同社が持たない技術力を有している企業で、既存事業とシナジーが期待できる企業を対象としている。

2026年5月期は健康食品事業撤退と先行投資で減収減益見通し

4. 2026年5月期の業績見通し
2026年5月期の業績は売上高で前期比2.3%減の6,500百万円、営業利益で同53.7%減の200百万円、経常利益で同62.8%減の160百万円、当期純利益で同58.6%減の100百万円と減収減益を見込んでいる。既述のとおり、売上高は健康食品事業撤退の影響により減収となり、利益面では医薬品事業、化学品事業ともに成長投資を積極的に行い減価償却費が増加することや、人的リソースを健康食品事業からシフトすることなどが減益要因となる。営業外収支も支払利息の増加を主因として若干悪化する見通しだ。

事業セグメント別の売上高は、医薬品事業で前期比5.7%増の3,400百万円、化学品事業で同4.5%増の2,500百万円、健康食品事業で同42.5%減の600百万円を計画している。

医薬品事業については、新規合成案件など自社製造品及び輸入原薬の伸長により増収を見込む。化学品事業はイオン交換樹脂が引き続きけん引役となる。PFAS関連に加えて火力発電所向けの「高架橋度イオン交換樹脂※」についても納入先の広がりにより増収を見込んでいる。火力発電所向けについては国内シェアで約2割となる4億円を将来的に目指している。そのほか、前期はほとんど売上に貢献しなかった水処理装置も複数案件を受注しており、増収に寄与する見通しだ。健康食品事業については、契約済みのOEM品の製造販売だけを行うことになる。

※ 標準的なイオン交換樹脂と比較して溶出する不純物量が少ないため、長期間使用しても劣化が進行しにくい特徴がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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