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ビジネス
屋根リフォーム詐欺の実態と対応策

「屋根瓦にヒビ、このままでは近所迷惑に…」5年間で3倍“屋根リフォーム詐欺”被害が急増している背景 情報の非対称性が高いことにつけ込んでくる悪徳業者

屋根のトラブルは自力で確認しにくいから厄介だ(写真:イメージマート)

屋根のトラブルは自力で確認しにくいから厄介だ(写真:イメージマート)

「屋根瓦が割れているのが見えました。このままだとご近所に迷惑がかかります」――突然家にやって来た業者からそう言われ、慌てて修理を依頼したところ、高額な請求がされるというトラブルが後を絶たないという。

 自力ではなかなか目の届かない場所にある屋根の劣化は分かりづらく、業者を名乗る人物から指摘されたら不安になる。不安な心理につけ込む詐欺を「レスキュー詐欺」というが、なかでも屋根トラブルにおける詐欺被害が増加する背景には何があるのか。専門家に話を聞いた。【前後編の前編】

増加傾向の背景にある3つの要因

「契約を解除したい」「詐欺的な勧誘トラブルを解決してほしい」など、消費生活全般に関する相談窓口・独立行政法人国民生活センターによれば、「屋根工事の点検商法」に関する相談は増加傾向。屋根トラブルによる詐欺被害を訴えた件数は2018年度は923件だったのに対し、2022年度は2885件と、5年間で約3倍に増加しているという。

 屋根工事業者への支援サービスを手がけ、屋根工事に関する情報を第三者的視点で発信するウェブメディア「やねプロ」を運営するハウスケープ株式会社の代表取締役・明正剛典氏によれば、屋根補修に関するトラブルが増える背景には、大きく分けて3つの理由があるという。【1】戸建てに住む人の高齢化、【2】屋根は情報の非対称性が高いこと、【3】不安をあおられやすい、という3点だ。

【1】戸建てに住む人の高齢化

 昨今、高齢者をターゲットにした詐欺への注意喚起は盛んに行われてきた。そのなかで、『屋根工事の点検商法』は「業者にしてみれば、まだまだ”穴場“なのでしょう」と明正氏は指摘する。

 国民生活センターによると、過去5年で屋根工事トラブルの相談件数が最多となった2022年において、実際に契約した2642件のうち60歳以上の高齢者によるものは2128件と8割以上を占める。一方で、同年の「オレオレ詐欺」は4287件で、2018年の9145件をピークに減少傾向にある。前述のとおり同年の屋根トラブルは2885件という数字で、社会問題となったオレオレ詐欺被害の3分の2に迫ることからも、その多さがうかがえる。

「高齢になればどうしても判断が鈍ってくる。また昨今は子供が独立した後、家を継がないなどで周りに相談相手がいないケースも多い。

 本来、住宅は基本的に地域産業で、地元の職人がフォローするのが理想です。詐欺被害に遭いやすい家の傾向としては、近隣住民との関係性が希薄な都市部の方が多いですが、昨今は地方工務店の廃業や倒産が相次ぎ、全国的に地域のつながりが減ってきています。そういった、孤立する高齢者はターゲットにされやすいです」(明正氏、以下「」内同)

次のページ:【2】情報の非対称性の高さ

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