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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】ラキール Research Memo(7):LaKeel製品の販売好調により営業利益は大幅増

*11:07JST ラキール Research Memo(7):LaKeel製品の販売好調により営業利益は大幅増
■ラキール<4074>の業績動向

1. 2025年12月期中間期の業績概要
2025年12月期中間期の業績は、売上高が4,284百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益が606百万円(同38.9%増)、経常利益が609百万円(同43.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益が416百万円(同45.1%増)と利益が大きく伸びた。期初予想に比較して、売上高で184百万円、営業利益で218百万円、経常利益で230百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で171百万円の超過達成となった。

日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復がみられた。一方、先行きについては、米国の通商政策の影響や物価上昇の継続による消費者マインドの下振れ、金融資本市場の変動などの影響により依然として不透明な状況が続いている。同社が属する情報サービス業界においては、企業におけるデジタル化・DX推進やクラウド型サービスへの移行といったニーズを背景に、様々な情報サービスに対する成長期待がますます高まっている。このような環境下、同社は引き続きLaKeel製品のラインナップや機能の拡充に努め、プロダクトサービスを中心に事業を展開した。

この結果、LaKeel HRなどLaKeel製品が好調に推移、コンサルティングサービス及びプロフェッショナルサービスの減収をカバーし、全体では増収を確保した。利益面では、コンサルティングサービスとプロフェッショナルサービスの収益環境はやや厳しかったが、LaKeel製品の販売好調を背景に売上総利益率が大きく改善した。販管費は、人件費、採用・教育費、広告宣伝費といった費用が先行的に増加したが、売上総利益の増加でカバーし、営業利益は大幅増益となった。中間期予想に対して業績が超過達成となったが、売上高の過達については、プラス面では、DX投資など市場環境が良好でLaKeel製品の販売が好調だったこと、第3四半期の案件が前倒しされたこと、マイナス面では、提案案件の大型化などにより新規契約の営業活動が長期化したこと、コンサルティングサービスとプロフェッショナルサービスが厳しかったことが想定外だった。営業利益については、コンサルティングサービスとプロフェッショナルサービスで一部低採算の案件があったが、LaKeel HRなど近年投入したLaKeel製品の契約が伸びてライセンス収入が大きく拡大したこと、販管費を当初予想よりやや抑制できたことが過達の要因となった。

LaKeel HRなどLaKeel製品が高成長

2. サービス別売上高の動向
サービス別では、プロダクトサービスの売上高が16.9%増、プロフェッショナルサービスが16.2%減と対照的だった。プロダクトサービスの中でも、LaKeel製品の新規ライセンス販売とサブスクリプションによる使用料収入が非常に好調で、コンサルティングサービスはやや厳しい業績だった。

プロダクトサービスの製品サービスは、売上高が前年同期比64.9%増と好調だった。なかでもLaKeel製品の新規ライセンス販売とサブスクリプションによる使用料収入が大きく伸びた。新規ライセンス販売は、特にLaKeel HRとLaKeel Data Insightが好調に推移、第3四半期に予定していた受注の一部が第1四半期に前倒しになったこともあって、同215.5%増と大きく伸びた。なお、主力のLaKeel DXに加え、ライセンス平均単価が比較的高いLaKeel HRとLaKeel Data Insightが2本目、3本目の柱として育ってきた。

LaKeel HRが好調となった要因は、2回目のMBOをしたのちHRに再注力したときに、祖業から人事基幹業務システムに強くエンジニアも抱えていたこと、後発のメリットとして、最新技術や国内企業に寄り添った仕様、AIを外付けできる仕様を導入できたことなどから、他社の人事基幹業務システムに対して優位性を発揮することができた点にある。足もとではこうした優位性が認知されるようになってきており、他社からのスイッチを中心に顧客の拡大につながっている。また、LaKeel Data InsightとLaKeel BIは生成AIとの親和性が高く、ともに大規模データの移行から高度な分析まで専門知識がなくても利用できることが好評の要因である。このため、LaKeel製品のサブスクリプションは堅調に推移した(一般にライセンス販売に遅れて月ごとに収益計上される)。一方、LaKeel製品以外のサブスクリプションは大半が終売製品で、引き続き徐々に減っていく見通しである。この結果、プロダクトサービスの売上高構成比が前年同期比7.9ポイント上昇の65.5%、LaKeel製品のサブスクリプションはユーザー数が同6.7%増の367ユーザー、MRR※が同16.3%増の116.5百万円、ARPUが同8.9%増の31万7千円と、KPIも非常に良好だった。

※ MRR(月間経常収益)は四半期のLaKeel製品のサブスクリプション。サブスク売上を3で除して算出、ARPU(ユーザー平均単価)はMRRを各四半期末のユーザー数で除して算出。

一方、ライセンスに遅れて計上される傾向のあるコンサルティングサービスは、LaKeel HRは伸びているし、LaKeel Data Insightも伸びが見えてきているため、回復への道筋は見えてきた。しかし、人的ボトルネックもあって新規のDXコンサルが伸びないなか、一部既存案件の終息から入れ替えのタイミングとなったこともあり、前年同期比で減収となった。ただし、AIは、現在は就業規則を読む程度の粗いことしかできないが、長期的にはコンサルティングに取って代わる可能性があるため、そうしたことも念頭に置いた戦略展開を考えているようだ。プロフェッショナルサービスは、前第2四半期以降で複数の大型案件が縮小となったことが減収要因である。今第1四半期で下げ止まり、第2四半期で回復傾向に入ったが、地道な営業活動が必要なうえ、コンサルティングサービス同様に人的ボトルネックもあるため、回復には下期まで時間がかかる見通しである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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