共生バンクを巡るこれまでの経緯
他の投資商品を大きく上回る高配当を掲げて出資金を集めてきた不動産投資商品「みんなで大家さん」。CMでも大きく宣伝され、3万人超から2000億円を超える出資金を集めてきたが、支払いが滞り、運営会社の「共生バンクグループ」が釈明に追われる事態に発展した。配当ストップの裏側でいったい何が起きているのか。ノンフィクション作家の森功氏がレポートする。(文中敬称略)【前後編の後編】
金融機関・行政への説明資料
そもそも共生バンクのピンチは今に始まったことではない。2000億円のグループ投資額のうち1500億円を占める「共生日本ゲートウェイ成田プロジェクト」(以下、「成田PJ」)は、2014年に会長の柳瀬健一(59)が思いついて立ち上げたというが、すでに11年が経過している。
事業計画を見ると、その杜撰さは一目瞭然だ。2019年10月には、成田市の開発許可を得ているが、当初の計画では三重県の「伊勢忍者キングダム」にある安土城を模したホテル建設のほか、600~1000室の最高級国際ホテルを2棟建てる計画だった。まるでラスベガス並みの高級ホテルだが、運営する事業者も決まっていない。それどころかこの地には下水道施設が備わってなく、その対応もできていない。
しぜん土地の造成工事の予定はどんどんずれ込んだ。当初の予定では、事業許可の2年後にあたる2021年3月末には造成を終える予定だったが、2022年10月から2023年10月へと延び、さらにこの4月には、2025年11月と延長されている。三度も完成予定を延ばし、成田市がそれを許してきたのである。
この間、業務停止の行政処分まで下ったのは前編にて前述した通りで、とうぜん投資家たちは「いつになったら完成するのか」と騒ぎ始めた。だが、例によって共生バンクの柳瀬は、取引先に苦しい言い訳を繰り返してきた。
「2020年に猛威を振るった新型コロナウイルスのせいで計画を延ばしました。そのあとはロシアのウクライナ侵攻があって……。おかげでむしろプロジェクトがブラッシュアップできた」
そんな共生バンクグループの命取りになりかねない内部資料が存在する。そのうちの1枚は〈共生バンクグループ メイン保有資産一覧(2023年3月末現在 取得済み記載)〉と題されている。日付は2023年5月のもので、名称どおり、グループの持つ資産がズラリと記された資料だ。誰が何のために作成したのだろうか。
「金融機関や国交省、東京都や大阪府に対する説明資料としてつくられたはずです。ちょうど彼らと揉めている最中でしたから、何らかの手を打たなければならない、と柳瀬さんが考えたのです」
資料を見た関係者がそう解説してくれた。事実、この頃、共生バンクは取引先の金融機関とトラブルになっていた。関係者が打ち明ける。
「そもそも成田プロジェクトには事業実態がないので、キャッシュフローが発生しえない。なのに、これまでシリーズ成田の分配ができているのはおかしいのではないか。金融機関からそんな根本的な疑問に始まり、収支計画について教えていただきたい、と突っ込んで質問されていました」