隣人が芸能人、どんな影響が?(イメージ)
集合住宅の賃貸物件を借りる際には、多くの場合、勤務先や年収などをチェックする「審査」がある。しかしたとえ年収が多くても、入居のための審査で弾かれやすいと言われているのが“芸能人”だ。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏が、芸能人の賃貸事情について説明する。
「タレントさんが引っ越しをする際に何回も審査に落ちたという話は、トーク番組などでも定番です。理由は、第一に収入が不安定だということ。芸能人の人気は水モノなので、一気に収入が減ってしまうことも珍しくない。家賃が払えなくなるのではないかということで、貸主としても慎重になるというわけです。
収入だけでなく、芸能人ならではの事情も少なくありません。たとえば、マスコミが取材に押し寄せてくるのではないか、あるいはファンが集まってくるのではないか、という懸念もあります。さらに芸能人は生活リズムが不規則なうえ、時間を問わず人の出入りが多くなりがちだと思われていて、他の住民への配慮から、入居審査のハードルも高くなりがちです」
では、実際に芸能人が住む賃貸物件において、他の住民に何らかの影響はあるのだろうか。芸能人と同じマンションに住んだ経験がある人たちに話を聞いた。
隣の部屋からかすかに聞こえてきた歌声
15年ほど前、東京23区内の住宅地にある5階建てのマンションに住んでいた会社員・Aさん(40代女性)。物件は当時で築20年、総戸数は20戸ほどの小規模なマンションだった。
「どの部屋も2LDK以上のファミリー向けマンションで、私が住んでいた部屋の隣が、有名な俳優さんでした。親子で芸能活動をしていて、家族で住まわれている様子でした。私がそこに引っ越した際、挨拶に行ったら、その俳優さんと奥様が対応してくれ、顔を見てすぐわかりました。俳優の息子さんもマンション内でよく見かけました」(Aさん)
芸能人一家の隣に住むことで、「デメリット」を感じたことはあったのだろうか。
「奥様は家にいらっしゃることが多かったようですが、俳優の旦那さんはやはりいそがしかったのか、あまり見かけませんでした。人の出入りも少なく、基本的に静かでしたね。朝早い時間や深夜に外出、あるいは帰宅するようなこともあったとは思いますが、楽器もOKというほど防音対策にこだわるマンションだったので、周囲の部屋の物音が気になるようなこともありませんでした。どんちゃん騒ぎをするなんてこともなかったですし、嫌な思いをしたことは一切ありません」
そんなAさんだが、隣の部屋から何度か「気になる音」が聞こえてきたことはあったという。
「防音対策がされているマンションだとはいえ、夜、歌声がかすかに聞こえてきたことが数回ありました。舞台か何かの練習をしていたんだと思いますが、年に数回です。近所のことを考慮してくれる方だったと思います」(Aさん)