AI時代でも輝く現場仕事の強みとは(写真:イメージマート)
数年前まで「将来的にAIに取って代わられる仕事」として、運転手やスーパー・コンビニの店員、ホテルのフロントマンら、多くの現場仕事が挙げられることも多かった。だが現時点では、「AIの脅威にさらされているのは、どちらかというとデスクワーク中心のホワイトカラーの仕事で、ブルーカラーの現場仕事は今後もニーズがあり続けるのではないか」と言うのは、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。AI時代でも色褪せない、ブルーカラーの現場仕事の強みについて、中川氏がレポートする。
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ウェブメディアの記事は日に日に増殖し、数だけは増えています。中にはAIを使って書いたと明示してある記事もあり、AIへの信頼性が高まっている証左でしょう。また最近のXでは、プロの漫画家が「ネーム」と呼ばれる下絵とセリフを書き、それを生成AIを使って漫画化したら、見事にその漫画家の作品として仕上がっていたことも、話題になりました。
これに対しては「もうアシスタントいらないな」という声が出たほどです。AIやロボットの活用は、小売店でも「セルフレジ」の形で実現され、飲食店でも配膳ロボットが給仕をしたりするようになっています。
とはいっても、数年前に言われていたようなAIと自動運転が人間の運転手の仕事を奪う、という事態には、まだまだなっていないようです。残業規制により運転手が足りなくなるという「物流2024年問題」は記憶に新しいところですし、各バス会社はバスの後部窓に「運転手募集!」のシールを貼っていることも多い。運転手不足のため減便している地域も存在するうえに、外国人運転手導入の議論も始まっています。
結局、自動運転がまだまだ実用化に至っていないことと、地域産業においてはタクシーやバスが重要なインフラかつ雇用先になっていることなどから、運転手の仕事は奪われずに済んでいるわけです。日曜日の新聞には求人の折り込みチラシが入っていますが、タクシー運転手の求人は毎度大きく掲載されています。しかも、「支度金50万円用意」「二種免許取得費用は会社持ち」といった好待遇です。
