今年の鉄道技術展は、11月26日~29日の4日間開催された。写真は開催初日のテープカット(筆者撮影)
11月26~29日の4日間、幕張メッセにて第9回「鉄道技術展」が開催された。車両・構造、運行管理、旅客設備、軌道、土木関連他あらゆる鉄道分野の技術が一堂に会する総合見本市として、毎年多くの賑わいを見せている。今年の同展の様子とそこから見えてきた日本の鉄道の未来を、交通技術ライター・川辺謙一氏がレポートする
東武と日立が車両メンテナンスのDXを推進
今年の鉄道技術展は、日本の鉄道業界にとって一つの節目でもあった。これまで欧州流の「合理性」とは距離を置いていた日本の鉄道業界が、それを受け入れる姿勢を見せたからだ。
その象徴ともいえる出来事が、日本の鉄道事業者によるHMAX導入だ。HMAXは、日立製作所(以下、日立)が開発したデジタルアセットマネジメントだ。デジタル技術を活用して業務効率化を図るもので、すでにグローバル展開している。
この動きの先陣を切ったのが、東武鉄道(以下、東武)だった。同社は日立とともに、車両メンテナンスのDXを推進するためにHMAXを活用した協創に取り組むことに合意し、今年11月11日に発表した。同11月28日には、鉄道技術展の日立のブースで取材会を実施し、両社の幹部が報道陣の前で握手した。
握手する東武と日立の役員。左は東武の取締役 常務執行役員 鉄道事業本部長の鈴木孝郎氏。右は日立の執行役専務 モビリティ事業責任者兼鉄道ビジネスユニットCEOのジュゼッペ・マリノ氏(筆者撮影)
東武は、データドリブン(データに基づいて判断・アクションをする)の技術であるHMAXの導入を表明した。筆者は、昨年9月に日立がAIで強化したHMAXを発表してから、それが国内の鉄道に導入される状況を探っていたので、「ついに日本の鉄道で活用する日が来た」と感じた。
東武と日立による車両メンテナンスのDXのイメージ。コントロールセンターは無線通信で車両の状態を監視できる(画像提供:日立製作所)


