公立病院の経営難が続くことで生じる問題は、受診する患者にも及ぶ。
そのひとつが、赤字打開策として各地で進む「統廃合」の結果、患者が被る不便だ。
兵庫県在住の70代男性は、県内のある市民病院で進む公的病院との再編統合案を不安視する。
「市民病院は市内唯一の公立病院で24時間対応の救急外来もあったが、新しい病院は5キロ離れた隣市に建設予定。自分は心臓病の持病があるので万が一の時に救急搬送が間に合うのか、今から不安でしかたない」
冬季に雪に閉ざされる地域ではこんな懸念も聞こえてくる。
「赤字改善のために県立病院の入院ベッドを廃止する案が出ているが、代替先とされる別の県立病院はそこから14キロ以上も離れている。通常は車で20分の距離だが、冬場の悪路では1時間以上かかることもある。通院が大きな負担になりそうで心配」(新潟県在住50代男性)
入院機能がなくなることで「休日・夜間の急患対応もなくなるのでは」と不安を募らせる住民もいた。
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※週刊ポスト2026年1月2・9日号