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【注目トピックス 日本株】四電工 Research Memo(7):次期中期経営指針ではさらなる収益性向上を推進

*12:37JST 四電工 Research Memo(7):次期中期経営指針ではさらなる収益性向上を推進
■成長戦略

1. 「中期経営指針2025」
四電工<1939>は2021年7月に「中期経営指針2025」(2022年3月期~2026年3月期)を策定し、数値目標として最終年度2026年3月期売上高1,000億円、営業利益60億円、ROE8.0%を掲げた。基本方針として、売上面では営業強化や専門技術者の質・量の拡充を図り、設備工事企業に対するM&Aも積極活用する。利益面では売上拡大に加え、原価管理の徹底により収益性を高めるとした。またM&A投資、ESG関連投資、研究開発・デジタル化投資として合計100億円の成長投資枠を設定した。要員計画としては2025年4月時点の連結ベース従業員数を2,800人程度として、定期採用(単体ベース)としては年間100人強の採用を継続する。

取り組むべき重点課題は、「総合設備企業としての多面的な収益力の強化」「広域的な事業展開の拡充」「ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持」「四電工グループとしての総合力の発揮」「環境・社会の持続性確保に向けたコミットメント」の5点としている。

具体的な重点戦略については、「総合設備企業としての多面的な収益力の強化」では、施工対象とする業態や施設用途の多様化・拡大、設備一式施工の機会拡充などを推進する。「広域的な事業展開の拡充」では、四国域内おいて市場シェアアップや利益率向上により売上・利益を最大化しつつ、首都圏・関西圏を中心とする四国域外での収益力を強化して総合設備企業としての収益基盤を整備する。「ライフラインの信頼性確保のための事業基盤の維持」では、協力企業を含めた施工体制・技術力の維持とともに、施工効率のさらなる向上に取り組み事業の収益性を確保する。「四電工グループとしての総合力の発揮」では、特に首都圏・関西圏において現地の設備工事企業と新たな資本・事業提携関係を構築し、受注・施工面での協業やシナジー創出を推進する。これによってパートナー企業やその協力企業を含めたグループとしての施工体制を拡充し、連結ベースでの収益力を高める。「環境・社会の持続性確保に向けたコミットメント」では環境・社会の持続性確保に向け、雇用とダイバーシティの確保、従業員エンゲージメントの向上、省エネ技術の活用や再生可能エネルギーの開発等による環境負荷軽減、地域社会との共存・支援活動など多面的な取り組みを推進する。

「中期経営指針2025」の進捗状況としては、2025年3月期の売上高が105,877百万円、営業利益が8,073百万円、ROEが8.2%となり、いずれも最終年度2026年3月期の目標を1期前倒しで達成した。これは、設備工事の比率が高い工場、物流倉庫、データセンターなどをはじめ需要が高水準に推移し、受注採算性の改善が進展したことに加え、原価管理部門が資材調達も担当して原価管理を徹底するなどを継続的に取り組んできた成果と言える。

また要員計画についても2025年4月時点の連結ベース従業員数が2,773人となり、目標としている2,800人程度をおおむね達成した。人材投資としてはベースアップの実施、奨学金支援(代理返還)制度の導入、人事制度の見直し、社員研修所の移転・新築を実施している。ベースアップについては3年連続でベースアップを実施し、2025年4月は初任給も含め従業員一律15,000円のベースアップを実施した。これにより定昇を含めて6.45%(組合員平均)の賃上げとなった。奨学金支援(代理返還)制度については2025年4月に導入した。人事制度の見直しについては、首都圏・関西圏での施工力確保に向けて、人材の地域間異動を活性化するため人事制度を見直した。社員研修所の移転・新築は2025年4月に対外公表(2028年初旬に開所予定)した。

なお「中期経営指針2025」最終年度となる2026年3月期の業績については一時的に減速する見込みだが、大型案件の反動などの一過性要因を考慮すれば「中期経営指針2025」の進捗状況はおおむね順調と弊社では考えている。また、現在策定を進めている次期中期経営方針では、総合設備企業として多面的な収益力を一段と強化するため、現中期経営方針のテーマを深掘りし、特に受注案件に対応した効果的な技術者の配置等によって収益性のさらなる向上を推進する模様である。

株主還元は連結配当性向40%以上、ROE向上に向けた取り組み推進
2. 株主還元策
同社は2023年8月に「資本収益性の向上に向けた取り組みについて」を公表し、基本方針を「人材投資をはじめとする成長投資を実践することで、利益の持続的な伸長を図るとともに、株主還元の充実等により適正な資本構成を実現する。」として、ROEの向上にフォーカスした取り組みを推進している。

株主還元については「中期経営指針2025」の下、2023年8月に株主還元方針を変更し、連結配当性向の目安を従来の30%以上から40%以上に引き上げた。また、景気動向等によって一時的に減益となった場合でも、極力配当水準の維持に努めるとしている。さらに、株式流動性を極力低下させないことを念頭とする自己株式取得、株式分割を通じた投資単位の引き下げについても検討する方針を打ち出し、2024年10月1日を効力発生日として株式3分割を実施した。

この方針に基づき、2026年3月期の配当予想は65.00円(中間期末32.00円、期末33.00円)としている。業績予想を減益としているなかでも、前期の株式3分割換算後の65.00円と同額で、予想配当性向は61.5%となる。将来的には業績の拡大に伴ってさらなる株主還元の充実が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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