頑張りたくない若者が増えているように見えるのはなぜか(イメージ)
「もっと頑張れ」ではなく、「もう少しだけ頑張ってみようか」。そんなふうに、若者への呼びかけ言葉は変えたほうがベターだ――とする説が広まっている。「頑張れ」と言われると、まるで今までは頑張っていないかのように感じてしまうからだという。そもそも、そこまで頑張る必要はあるのか? これがZ世代の率直な問いのようだ。書店やウェブを見渡せば、「頑張らない○○」と名のつく本があふれ、その価値観は一定の支持を得ていることがうかがえる。
上の世代から見れば「やる気がない」「ガッツが足りない」と片付けられがちなZ世代だが、その背景には彼らなりの合理性があるという。
金沢大学融合研究域融合科学系教授であり北海道医療大学客員教授も務める金間大介氏と、博報堂生活総合研究所主席研究員の酒井崇匡氏の共著『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル 』より、「頑張れば報われる」が“死語”となったZ世代のリアルを、一部抜粋・再構成して紹介する。【全3回の第2回】
成功の要因は才能か、それとも努力か
努力して何かを得る。がんばって成果をあげる。
そんな考えの対極に位置するのが、がんばっても無駄、努力しても意味がない、という考えだ。そして、そんな考えを表現する言葉として「諦念感」が使われるようになって久しい。最近では、やはり「ガチャ」がわかりやすいかもしれない。
ガチャとは、基本的に自分ではどうにもできない状況において、不平等が生じる際に使う言葉だ。これが、人の能力や育つ環境の優劣はあらかじめ決まっており、がんばっても無駄、という諦念感に通ずる。
他方、努力とは、自分の意思で将来を変え、切り開こうとする際の言葉だ。つまり、ガチャと努力は対極の関係にあると見ることができる。そしてこの「ガチャvs努力」の構図として、努力派の若者が年々減少し、ガチャ派が増えている様子が僕の研究から浮かび上がっている。
それが、「若者の5年後の幸福度調査」と呼んでいる僕(金間)のオリジナルの調査だ。2025年2月に実施したウェブ調査で、対象は20代から50代までの1200人。20代には大学生や大学院生が含まれる。設問は全部で30問ほどを用意したが、そのうちの一つに以下の問いがある。
「人が成功する要因として『生まれもった才能や環境』と『自らの努力』、どちらが重要だと思いますか」
この問いに対し、「才能や環境が重要」と思う場合を「1」、「努力が重要」と思う場合を「5」とした 段階で回答してもらった。
その結果を図表5-2に示す。この図表の見方としては、各年齢層の平均値を算出し、段階の真ん中である5.5を中央の0軸とし、そこより左にある場合は「才能や環境が重要」、右にある場合は「努力が重要」と考える人が多いという結果になる。
人が成功する要因として「生まれもった才能や環境」と「自らの努力」、どちらが重要だと思いますか
人が成功する要因は生まれもった才能か、それとも生後の努力か。この問いに対する結果は、年代で明確に分かれる結果になった。特に50代の集計結果は1.2で「努力志向」が強く、20代は-1で「ガチャ志向」が強く、対比が際立っている。

