名義変更が楽になる制度も活用したい(写真:イメージマート)
家族の死後、悲しみにくれるなかで否応なくやってくるのが相続と名義変更だ。なかでも、銀行口座の親子間の名義変更はトラブルになりやすい。埼玉県在住の68歳男性が語る。
「父の死後、遺産分割協議をきょうだい3人で終えて預金通帳の残高約200万円を私が相続することになりました。葬儀代で100万円ほどかかり私が立て替えたのですが、家の片付け中にいろんな銀行の預金通帳が出てきた。
他にもあるのではとタンスにあった銀行の封筒を頼りに片っ端から銀行に連絡し、口座を調べてもらったところ、さらに2行の口座が発覚しました。その度に名義変更の書類を提出して、遺産分割協議もやり直しに。名義変更が終わるまで口座は凍結されたままで、立て替え費用が戻らず困りました」
預金口座の名義変更の手順は、まず被相続人の死を銀行に連絡すると口座が凍結され、解約に必要な書類が郵送される。その書類とともに、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、遺言書もしくは遺産分割協議書、相続人全員の印鑑登録証明書などを提出し、その後、相続人の口座に残高が振り込まれる。一連の手続きには1か月ほど要する。相続専門の税理士・相原仲一郎氏が説明する。
「問題なのは、この男性のように複数の銀行口座がある場合。特に通帳がないと近所の銀行、地銀などに片っ端から連絡して手続きしなくてはならない。預金残高が数百円というケースもありますが、基本的に全部の名義変更が必要です。
後から通帳が出てきた場合、改めて遺産分割協議が終わるまでそれまで行なっていた名義変更手続きが滞ってしまうことが多い。そうなると遺産分割協議に時間がかかり、相続税の優遇制度などを使えなくなる可能性もある。例えば『小規模宅地等の特例』は相続発生後10か月以内に遺産分割協議を終えていないと使えません」(相原氏)
