推しバレを気にする若者心理を読み解く(イメージ)
「今の若者は、欲がない」。そんな言葉を耳にしたことはないだろうか。もちろん買い物はするが、その多くは親や友人、あるいはインフルエンサーに勧められたものだったりして、「これだけは誰に何と言われようと欲しい」といった強い欲求は、あまり感じられない──そう見えるのも無理はないことかもしれない。
こうした若者の感覚に、理解が追いつかないと感じる上の世代も多いだろう。金沢大学融合研究域融合科学系教授であり北海道医療大学客員教授も務める金間大介氏は、「若者には本当に欲しいものがないのか」という問いに対し、仮説の一つとして「欲しいものをあえて隠している」という見方を示す。なぜ隠すのか――。
金間氏と、博報堂生活総合研究所主席研究員の酒井崇匡氏が、Z世代への調査をもとに、その背景にある本音を読み解く。両氏の共著『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル 』から一部抜粋・再構成して紹介する。【全3回の第3回】
「推しバレ」するのが怖い
「君の『欲しい』はどこにあるの? 周りが何と言おうと『自分はこれ!』というのはあるよね?」という問いに対するひとつの仮説はこうだ。
「はい、実はあります。一生懸命隠してます」というもの。
皆さんは「推しバレ」という言葉を聞いたことはあるだろうか。自分が、特定のアイドルやキャラクターのファンである、すなわち推しがいることが周囲の人に知られることを指す。「バレ」と表現するところに、「できれば知られたくない」というニュアンスが込められている。
色んな調査会社がデータを公表しているが、大体どの調査結果を見ても、推しを持つ若者のうち半数は「推しバレしたくない」と思っていることが明らかになっている。この気持ちは、どの世代の人もある程度理解できるように思う。自分が好きなものを知られるのは、どこか恥ずかしいものだ。
ただ、今の若者は、その隠し方が巧妙になっている。その中でも比較的多くの人が採用している方法は、完全に「住む世界」を分けること。
今の時代、これは比較的実行しやすい。プライベートに関することは質問することも詮索することもNGとなった時代だ。
より推しバレ対策が巧妙になったなと思うのは、バレてもいい推しと、徹底的にバレ回避する推しを絶妙に使い分けることだ。先日、韓流好きであることをオープンにしていた教え子の女子大生が、ある日本のアイドルグループを箱推ししていたことが僕にバレて、とても焦っていた。その“境目”が僕にはもう全くわからなかった……(が、本人には何らかの線引きがあるのでしょう)。
