今年の実質経済成長率目標は4.5%~5%に設定された(全国人民代表会議の様子。Getty Images)
中国経済に精通する中国株投資の第一人者・田代尚機氏のプレミアム連載「チャイナ・リサーチ」。不動産不況に苦しむ中国が見据える成長戦略についてレポートする。
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全国人民代表大会が5日に開催され、今年の実質経済成長率目標は4.5%~5%に設定された。反動を含め新型コロナによる影響が無くなった2024年から成長率目標が再び示されるようになったが、その後2年連続で5%前後に設定された。それに対する実績は順に4.98%、5%と目標に対してタイトな結果となった。
政府が国家の経済発展に責任を持つといった経済体制の中国において、目標の持つ意味は大きい。今年の目標変更は、政府がもはや5%前後の成長を約束できないことを物語っている。
不動産バブルは深刻で、2025年12月現在、投資、販売ともに前年割れが続き、在庫は増え続けている。現時点で、回復の目途は立たない。
一方、輸出は昨年、自動車産業が新たに輸出産業として大きく台頭してきたことや、一帯一路戦略の進展によって輸出先の多様化が進んだことなどから好調を維持したが、今年はトランプ政権による米国第一主義、ドンロー主義が輸出拡大を阻もうとしている。
中国は2017年10月に開催された共産党大会で「経済成長において量ではなく質を追求する」と宣言しており、それ以来、地方政府による過剰投資、重複投資は目立たなくなってきた。今年も積極財政政策、金融緩和政策を継続するが、それはこれ以上の景気悪化を防ぐための措置であり、成長の質を落としてまで経済を刺激する意図はなさそうだ。
短期的な景気変動の平滑化ではなく、イノベーション投資を拡大させ“科学技術が牽引する経済構造への転換”を推し進めることで、時間をかけて不動産不況を克服し、外需に依存しない経済体質に変えようとしている。
