*12:08JST イノベーション Research Memo(8):ITソリューションが大幅増収、オンラインメディアは構造改革を推進(2)
■イノベーション<3970>の業績動向
2. 事業セグメント別動向の続き
(2) ITソリューション事業
ITソリューション事業は、売上高で前年同期比604.2%増の2,124百万円、セグメント利益で同75.9%増の181百万円となり、シャノン連結効果により大幅な増収増益を達成した。
「List Finder」に加え、「SHANON MARKETING PLATFORM」が大きく寄与し、国産MA市場におけるプレゼンスを拡大している。TOBに伴うのれん及び無形固定資産の償却が発生しているものの、グループ化によるスケールメリットを生かした事業運営により、利益を確保した。また、2025年12月のグループ再編によりSaaS事業への集中体制を構築し、プロダクト間連携及び営業でのシナジー創出を加速している。
中小企業向けの「List Finder」とエンタープライズ向けの「SHANON MARKETING PLATFORM」は、顧客の事業フェーズやニーズの変化に応じて相互に移行が可能な構造となっている。両製品の最も大きな違いは、処理可能なデータ量や管理対象ユーザーの規模にある。そのため、顧客の事業規模拡大やマーケティング活動の高度化に伴い、「List Finder」から大規模データに対応する「SHANON MARKETING PLATFORM」へアップグレードするケースが想定される。一方で、逆方向の移行も十分に考えられる。当初は「SHANON MARKETING PLATFORM」を導入したものの、利用規模に対して機能が過剰である場合や、コスト最適化を優先する場合には、よりシンプルかつ低価格な「List Finder」へ切り替える選択肢が生じる。価格レンジの異なる製品ラインを同一グループ内で保有していることにより、顧客のコスト見直し局面においてもグループ外への流出を抑制できる点は戦略的意義が大きい。結果として、顧客の成長段階や経営環境に応じた柔軟な受け皿を用意することで、LTVの最大化と解約率の抑制の双方に資する構造を確立している。
現在は営業・開発体制の再編を通じて効率的な運営と収益基盤の安定化を推進しており、今後はクロスセルの本格化が収益拡大のカギとなる。グループ全体の成長ドライバーとしての位置付けが一段と明確化していると弊社では見ている。
(3) 金融プラットフォーム事業
金融プラットフォーム事業は、売上高で前年同期比64.4%減の272百万円、セグメント損失は152百万円(前年同期は134百万円の損失)となった。大幅な減収の主因は、主力のIFA領域において業務委託部門を売却したことによるものである。これは、固定費抑制をねらった構造改革であったが、現在のところ効果が限定的である。今後はオンラインメディア事業との連携強化を通じてリード獲得及び送客の仕組みを構築し、グループ内シナジーを活用した収益モデルへの転換を図る方針である。
(4) VCファンド事業
VCファンド事業は、INNOVATION HAYATE V Capital投資事業有限責任組合及び2025年5月に組成したINNOVATION V Capital投資事業有限責任組合に関わるものである。第3四半期までに株式売却は実施しておらず、セグメント損失は134百万円(前年同期は47百万円の損失)となった。
新規投資としては、特定技能人材マッチングプラットフォーム「tokuty」を展開するトクティー(株)、飲食店向け仕込み代行・経営サポートを提供する(株)シコメルフードテックへ出資した。いずれも外部環境の追い風やビジネスモデルの独自性を評価した投資であり、長期的なキャピタルゲイン創出とスタートアップ支援の両立を志向している。当面は投資フェーズであるため損益はマイナスで推移しているが、中長期的なポートフォリオの質的向上と適切なタイミングでのイグジット戦略が将来の収益寄与におけるカギになると弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
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