*11:03JST タナベ Research Memo(3):グループ8社による一気通貫の経営支援(2)
■タナベコンサルティンググループ<9644>の事業概要
(2) グループ8社体制による戦略推進
2019年以降、M&Aによるグループ拡大を成長戦略として掲げ、シナジーが見込まれる企業を2026年3月末時点で6社グループ化してきた。
2019年10月に子会社化したリーディング・ソリューション(出資比率60.0%)は、BtoB領域のデジタルマーケティングにおいて、戦略策定から施策の企画・実施、PDCAまでを一括代行するKPO(Knowledge Process Outsourcing)業務及びWebサイト構築業務を主に展開している。
2021年1月に子会社化したグローウィン・パートナーズ(出資比率50.1%)は、会計士やファイナンシャルアドバイザーを数多く有しており、クロスボーダーを含むM&A全般の支援や大企業・上場企業グループを対象としたバックオフィス(経理・財務部門等)に対するBPR/DX支援(ERP、RPAの導入支援等)、人事制度構築・組織戦略支援を展開している。
2021年12月に子会社化したジェイスリー(出資比率96.2%)は、ディレクターやクリエイター、デザイナー等のプロフェッショナル人材を有しており、大企業から中堅・中規模企業のブランディングやCXデザイン、マーケティングDX等の新たな価値の創造を強みとしている。
2023年2月に子会社化したカーツメディアワークス(出資比率55.0%)は、PRコンサルタントとしてメディア出身者やグローバル人材が多数在籍しており、外資系を含む大企業に対する戦略PR、海外PR及びデジタルマーケティングの戦略立案・運用支援を強みとしている。同社が提供する海外向けプレスリリース配信サービス「Global PR Wire」は、配信エリアに合わせて、業界に特化した世界のジャーナリストに直接リリースを届けるサービスで、日本を代表するグローバル企業も含めて2,000社超の企業が利用している。
2024年8月に子会社化したSurpass(出資比率62.4%)は、100名超のプロフェッショナルな女性コンサルタントを中心に、BtoB企業に対するセールス/マーケティングコンサルティングやデジタルマーケティング及びSFA(セールス・フォース・オートメーション)/CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の実装コンサルティング、DE&I※を実現する組織デザインコンサルティング等を展開している。大企業向けBtoBセールス/マーケティングの実装支援では約90%の高い継続率を有しているほか、秋田県湯沢市等の地方自治体とも連携し、地域在住女性のデジタル人材への育成、資格取得や就業機会の創出支援も行っている。
※ DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)は、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包摂性(Inclusion)を意味する言葉。組織で働く多様な人材が、状況に合わせて必要なサポートを受けながら、一人ひとりが特性や強みを生かして最大限のパフォーマンスを発揮し、経営成果につながっている状態を目指す考え方。
2025年6月に子会社化したピースマインド(出資比率61.9%)は、日本及びアジアにおけるEAP※1サービスのパイオニアとして、独自開発したデジタルプラットフォーム「Working Better Cloud」でカウンセリングサービスやストレスチェックをワンストップで提供している。臨床心理士や保健師、産業カウンセラー等の約100名のプロフェッショナル社員を有し、取引企業数は大企業を中心に1,400社に上る。このうち10年以上の継続取引顧客数は40%以上を占め、LTV※2の高いサービスを提供していることに加え、契約企業の35%を外資系企業で占めていることが特徴だ。同社のグループ化により、経営コンサルティングファームとしては他に類を見ない「コーポレートウェルビーイング市場」へ参入することとなった。
※1 EAP(従業員支援プログラム)とは、事業所において従業員(労働者)へ提供される、仕事の業績に関わるような個人的問題に対しての福利厚生ケアの総称で、臨床心理士や精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等の専門スタッフによるカウンセリングサービス等を提供している。
※2 LTV(Life Time Value):顧客生涯価値→同社では顧客と長期の関係性を築くことと定義。
これら6社のグループ化によって、事業承継や業態転換・事業再構築、DX/AX・生産性向上、CXデザイン、人的資本経営、国内外PR、DE&I等、国内外の大企業から中堅・中規模企業が抱える様々な経営課題の解決にグループとして取り組むことが可能となり、同社の一気通貫の経営コンサルティングモデルが一段と強化された。また、全国に事業拠点を展開している強みを生かして行政/公共コンサルティングも展開しており(年間売上規模で数億円)、同社が持続的成長を目指すうえで重要な顧客ターゲットの1つになると弊社では見ている。
顧客企業の約75%が1年以上、約45%が5年以上の長期継続顧客。多様なルートで新規顧客を獲得しチームコンサルティング契約につなげる
2. 収益成長モデル
同社のビジネスモデルの特徴は、長期契約型のサービスを成長基盤として、新規顧客を積み上げながらスポット型の商品・サービスを加えることで持続的成長を実現することにある。顧客企業の約45%が5年以上の長期継続顧客で、1年以上継続の顧客まで含めると継続顧客は約75%を占める。「ビジネスドクター」として、トップマネジメントアプローチを志向していることが、高い契約継続率(LTV)につながっていると考えられる。なお、チームコンサルティングの売上構成比は2026年3月期で71%を占めている。
顧客創造モデルとして、既存顧客や提携先金融機関等(390社以上)からの紹介だけでなく、デジタルマーケティングや大型無料Web説明会の開催等で新規顧客と接点を持ち、インサイドセールスやフォローアップを行いながら顧客育成を図っている。そして、チームコンサルティングサービス以外でも、業種別・経営テーマ別の経営研究会や階層別人材育成セミナー等、継続的に有料サービスを提供することでLTVを高める。チームコンサルティングサービスの新規顧客のうち約5〜6割がこれら研究会や各種セミナーに参加した企業で占められている。さらに、グループ全体のデジタルマーケティング戦略として、経営コンサルティング領域別の専門サイトを開設してリード(見込み顧客)を獲得し、同サイトを通じてチームコンサルティング契約に結び付くケースも増加傾向にある。先述のインサイドセールスではグループ会社のSurpass、そして経営コンサルティング領域別サイトではリーディング・ソリューションが開発を担当し、ジェイスリーがコンテンツの一部を担当する等、グループシナジーも生かされている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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