*11:08JST 恵和 Research Memo(8):中期経営計画ではCSV実現に向け、新製品開発と海外展開を推進
■恵和<4251>の中期経営計画
1. 中期経営計画(FY2025-FY2028)
2025年8月、地球の絆創膏事業の撤退を受け、改めて経営理念「自然と産業の調和を創造する」を見つめ直し、「高品質の提供」によるCSVの実現に向け、中期経営計画(FY2025-FY2028)を策定し、新たなスタートを切った。目標指標として2028年12月期に売上高270億円、営業利益59億円、ROIC13.5%、ROE12.9%を掲げている。各セグメントについて、CAGRの比較で見ると、売上高は光学製品事業が9.4%、機能製品事業が6.9%と光学製品事業の成長を大きく見通し、共通費用差引前の営業利益については、営業利益率44.0%の光学製品事業が11.9%、機能製品事業では41.3%と利益率の大幅な向上を目指す。
2. 顧客満足を高める4つの重点施策
人的資本の強化、労働生産性の向上、フロントローディング、海外拠点の4点に注力する。人的資本の強化では、人材育成に関し、開発や製造のコア技術については国内の中心拠点で実務経験から学ぶOJT方式で育成している。労働生産性の向上では、製造現場のデータを活用してAIにより発生事象と品質等の相関関係を解釈、高品質はもちろん歩留まりの向上やオンスケジュールの供給体制を徹底し、顧客満足度を高める。フロントローディングについては、前述のとおり、開発や製造の振り出し戻りを回避し、高品質とオンスケジュール提供、さらにはコスト低減を実現する。
海外拠点については、光学製品分野におけるChina+1対応として、2025年12月、大手顧客の進出が相次ぐベトナムに、マーケティング情報の収集を目的にハノイ駐在員事務所を設立した。2026年12月期中には物流のほか生産や加工(仕上げ)拠点を立ち上げる計画である。現在は、同社の中国や韓国、日本拠点から専門人材が赴き、品質を重視するため現地の協力会社を厳格に調査、探索している状況で、まずは物流機能の導入を進めている。実務的には、駐在員事務所を通し、現地の欧米系企業からいくつか引き合いを得ているようだ。顧客からは、同社製品の現地製造を望む声もあるが、現在のところ、コア技術のシーティング、ラミネーティング、コーティングに関しては、国内のクリーンな設備環境はもちろん、自動化技術とそれをコントロールする優秀な人材で対応する方針である。なお、将来的にはウレタンフォーム用工程紙等の機能製品群にも対応可能な体制を目指す。
もう1つのマーケティング施策として、自動車業界のSC(サプライチェーン)の下流に位置するOEM(自動車メーカー)・Tier1(1次サプライヤー)との良好な関係構築が、迅速な情報収集による技術開発や効果的な販売促進につながると考え、歴史も実力もあるOEMが多数存在する欧州地域と、GDPトップの北米に拠点展開を進めている。最終的なねらいは、同社販売先のSC中間に位置するディスプレイや計器類を製造する企業へ、発言力の強いSC下流のOEM・Tier1が直接的に同社製品の採用を推奨することである。ディスプレイ関連で、OEM・Tier1の競争力を引き出す有益な製品の提案により高評価を得ることが最大の目的である。2026年4月には北米デトロイトに、モビリティ関連ビジネスの米国東部地区のマーケティング拠点として事務所を開設した。同年5月には独フランクフルト拠点の登記を完了し、本格的な稼働を開始している。これら拠点では、OEMやTier1との接触を進めており、車載ディスプレイでの好評価から同社の技術力や高品質の認知が進んでいるようだ。情報収集や提案においては、顧客と1対1で向き合うという同社の強みを生かした対応を進めている。顧客ごとに最適解を提供する姿勢が信頼につながり、案件進展を後押しすると同時に、好評価からのプレゼンス確立でグローバル市場でのブランディングにも期待が持てるだろう。最近では、情報交換を進めるなか、ディスプレイの視野角制御等、安全対策に関する高度なニーズを獲得した。これについては、OEMにおいて、「オパスキ」が対応するアフォーダブルなハイパー液晶(直下型液晶)採用と、高価格なOLED(有機EL)採用の2つの選択肢があるが、同社はハイパー液晶を採用する企業とのみ商談、交渉を進める方向性で迅速に対応を進めている。
欧米拠点に関しては、マーケティング活動として積極的に展示会に出展している。2026年に入り、独ニュルンベルク、北米ロサンゼルスで車載向け光学シートを展示し、OEMやTier1メーカーと情報交換した。その結果、顧客の要求書から提案書を提出するなど、深耕が進んでいる。ほかにも、同社ボードメンバーや研究者、エンジニアが参加したカンファレンスでは、より具体的に情報交換を行い、一部の顧客は、同社のクリーンルームや自動化設備の状況を確認するため和歌山の工場を見学に来るなど、案件の具体化に向け進捗している。デトロイト拠点と同じくミシガン州に位置するノバイでは、機能製品事業で扱うウレタンフォーム用工程紙「A!Prog-UF」を展示した。土地柄、自動車のフォーミングメーカー(座席シートを製造する企業)の訪問もあり、情報交換のなか、同社にとって全く想定外の課題を聞き取り、実際に案件相談まで漕ぎ着けたケースもある。早速解決策の考案を進めており、成功すればグローバル展開を進めるうえでより有効な訴求になるだろう。2026年9月には北米デトロイトの展示会にて、車載ディスプレイ向けPFASフリー等の環境負荷の少ない高機能光学フィルムを展示した。2026年12月期下期には海外拠点で成果を出したいと同社は考えており、海外拠点に向けた投資として、2026年12月期は、現地人材の採用や人件費、各種展示会への出展費用、渡航費用に5億円程度を計画し、展開を強力に推進する方針である。なお、フランクフルトに関しては、拠点設立計画当初、医学領域の先進国であることも念頭に置いており、機能製品事業の「メディテクト」等医療衛生領域への展開も将来的には視野に入るだろう。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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